《じっくり解説》ペンテコステ運動とは?

ペンテコステ運動とは?

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ペンテコステ運動…

[英語]The Pentecostal Movement.今世紀の初頭に始まる「近代ペンテコステ運動」は,ペンテコスタル・リバイバル(霊的覚醒)とも呼ばれており,初代教会のように聖霊が下って会衆に臨み,個々のキリスト者が聖霊の賜物を受ける経験を契機として生れた.「運動」という面に関しては,英国におけるリーダーの一人ドナルド・ジーは「ペンテコスタル・ムーブメントは,特にすぐれた人物や宗教指導者によって導かれたものではなく,世界の各地に時を同じくして生れたリバイバルによるもの」と言い,デイヴィド・デュ・プレシは「神の霊による創造」のわざと定義している.またヴァン・デューセンはこの運動を「初代の使徒による教会設立やプロテスタントの宗教改革にも匹敵する」重要な事柄と見ている.<復> 1.その特質.<復> キリスト教会の中で,使徒2章に記されている五旬節(ペンテコステ)の日に起った事柄を,単に教会([ギリシャ語]エクレーシア)の誕生を告げる一回的な出来事として見るのではなく,すべての時代のキリスト者に対して開かれている神の恵みと信じることをその特質としている.この経験を「聖霊によるバプテスマ」(使徒1:5,8)と称し,キリスト者が証人として奉仕をする力を授けられる体験とする.また,聖霊のバプテスマは「異言を語ること([ギリシャ語]グローサイス)」をその「しるし」としている(参照使徒2:4,10:46,11:15,16,19:6).この体験は,ホーリネス運動の教理としての「第2の恵み」とは明確に区別される.ペンテコステ運動はホーリネス運動と同様に,新生を体験したキリスト者が求むべき神の恵みを契機としている点では一致するが,後者が「信徒の聖化」の経験とするのに対して,「奉仕のために力を受ける」体験とし,宣教論の領域で理解している.この運動は,伝統的教会によって「教条化」されてしまった聖霊の位格とその働きに新しく目を向け,神に対する信頼と依存の度合いを増し,礼拝と宣教奉仕の場に聖霊の生き生きとした働きを期待する.この運動の特色は“Back to the Bible”(聖書への回帰)である.聖書に記されている神のわざは歴史の過去に閉じ込められるものではなく,今日においても現実であるという確信に立って,聖霊の働きを求めるところにペンテコステの力があると言う(参照Ⅰコリント12‐14章).<復> 2.その始まり.この世界的な規模の広がりを持つペンテコステ運動の発端を北米大陸に見ると,カンザス州トピーカに設置されたベテル聖書学校にさかのぼる.1900年末から新年にかけて行われた同校の祈祷会で,使徒の時代の現実を求めて祈ったところ指導者チャールズ・F・パーハムと全校生のほとんどが「聖霊のバプテスマ」を体験し,異言をもって神をほめたたえた.それまでにも伝統的教会の中で「異言を語る」体験は記録にあるが,あまり注目されなかった.この出来事は「ザ・トピーカ・キャピタル」紙によって報道された.またカンザス市,セント・ルイス市の新聞もこの出来事を取り扱った.その結果,多くの訪問客がベテル聖書学校に集まった.1901年,パーハムは学生とともに広く巡回伝道を行い「聖霊のバプテスマ」の恵みをあかしした.1905年,パーハムはテキサス州ヒューストンに聖書学校を移した.この学生の中にウィリアム・シーモアという牧師がいて,1906年4月にロサンゼルスの教会に招かれて奉仕に当ったが,異言を伴う「聖霊のバプテスマ」の体験に言及すると,教会での奉仕を拒否された.そこで場所を移して集会を継続したところ,会衆に使徒の働きの中に見られるように聖霊が注がれて「聖霊のバプテスマ」を体験した.これらの人々は会堂を借り受けて集会を続け,3年にわたるリバイバル集会が継続された.地元のロサンゼルスはもとより,アメリカ各地から,さらにカナダやイギリスなどからもこの集会に参加する者があり,それぞれ聖霊の恵みに満たされ,各地にそのあかしがもたらされることになった.このリバイバルの影響を受けたノルウェーのメソジスト教会牧師T・B・バラットは,オスロに帰って「ペンテコステ集会」を行った.多くの者が聖霊に満たされ,多くの魂が神に導かれた.こうしてオスロからスカンジナビア諸国,ドイツ,スイス,イギリスへとこの運動はヨーロッパ全域に広がった.ヨーロッパにおいてはこの運動を結集するために1939年,ストックホルムで国際的ペンテコステ会議を行った.さらにまたラテンアメリカ,アフリカ,アジアそしてオーストラリアにこの運動は拡大した.1989年にはアジアにおいて「第15回ペンテコステ世界会議」がシンガポールを開催地として行われた.<復> 3.その歴史的背景.<復> ペンテコステ運動は,イエス・キリストの復活から50日目の聖霊降臨を原点とするが,すでにポストペンテコステ史(使徒の働きの記録)に見るように「聖霊降臨」は繰り返されるという信仰に立っている.ペンテコステの日のペテロのメッセージにも明らかなように,「これは,預言者ヨエルによって語られた事」(使徒2:16)で神の主権的なわざである.神は「終わりの日に」御自身の霊を「すべての人に注ぐ」と約束され,その目的は「預言」にある.主イエス・キリストの福音を預託されるすべての証人が受くべき「バプテスマ」としている(参照使徒2:39).「この約束」は伝統的に救済論の視点からとらえられており,歴史的教会の誕生として理解され,教会論の緒論的扱いの域を出ることはなかった.復活の主イエス・キリストの弟子たちに対する命令を,その文脈(コンテキスト)において読み取り,「聖霊のバプテスマ」(使徒1:5,8)を,福音を「地の果てにまで」伝達する「力」として受け止めたことがペンテコステ運動の始まりである.使徒後の教会においては,「三一神観」の確立に強調点が置かれたため,聖霊の位格とその固有の働きに関してはあまり注目が向けられなかった.ローマ・カトリック教会においても,聖霊を教会における「魂」のように漠然と理解し,プロテスタント教会においても聖霊論に関しては多くを語ってはいない.「使徒の働き」は原始教会の記録であるばかりでなく,今日における教会の規範でなければならない.それにもかかわらず,今日の教会が本来の姿からあまりにも離れているのはなぜか,という素朴な問いかけがペンテコステ運動の契機となっている.歴史的に見て,この運動の誕生に欠くことのできない要素として,ホーリネス・リバイバル運動が挙げられる.18世紀にウェスリ(ウェスレー)によって提唱されたメソディズム(メソジスト主義)は,19世紀の中頃にはすでに衰退していた.このリバイバル運動は,カルヴァン主義の流れをくむ伝道者チャールズ・フィニのような人々によって継承され,19世紀の終りにはアメリカでその実を結び,ホーリネスの群が誕生した.その典型的な教理は,新生体験に次ぐ「第2の恵み」(聖化)である.イギリスのケズィックに端を発する「きよめ」の運動における「信仰によるいやしと聖霊の賜物」の追求も歴史的な背景となっている.しかし,この第2の祝福の教理は,一つの問題を内包していた.「聖化」の体験を立証する客観的な基準が欠けている点である.リバイバル運動によって,クリスチャン生活に重要な要素として,第2の危機体験の追求が残されたが,その不明確さを一掃することによって発展したのがペンテコステ運動である.<復> 4.その結果としての教会形成.<復> ペンテコスタル・ムーブメントの初期のリーダーたちは,これを教会内のリバイバル運動と理解していたので,新しい教会の設立を奨励しなかった.また彼らが最も避けたことは,教派・教団(denomination)を組織することであった.しかし「聖霊のバプテスマ」を体験する者の輪は拡大し,奉仕の力を得た人々による宣教の成果は著しく増大した.アメリカにおいてはこのリバイバルの実を保つために,最小限度の組織が必要と考えられ,まず教職者と教会から成る緩やかな「交わり(Fellowship)」が生れた.大陸のフリー・チャーチの土壌が,これを可能にした.やがてこの動きの中に,アッセンブリーズ・オブ・ゴッドを初めとし,幾つかのペンテコステ教団が組織された.イギリスを初めヨーロッパ諸国においても,この運動は同じような経緯をもって発展した.1913年には,早くもアメリカより宣教師が来日し,この運動の流れをくむ教会が日本にも誕生する.後の日本アッセンブリーズ・オブ・ゴッド教団の設立につながっている.このほかに日本フォースクェア福音教団,日本チャーチ・オブ・ゴッド教団,日本ペンテコステ教団,日本オープンバイブル教団,日本ユナイト・ペンテコステ教団などがある.<復> 5.その教理形成.<復> この運動の結果として生れた教会は,その信仰基準を旧新約聖書から受け取ったことは言うまでもないが,19世紀に根を下ろした福音派の諸教会の伝統を多く受け継いでいる.その伝統は観念的ではなく,体験と実践面において著しい.「ファンダメンタリズム(根本主義)」は,この運動の教理形成に大きな貢献をしている.聖書を唯一の規範とし,その根本真理に共通の信仰を声明し,聖霊体験により宣教の幻が加えられ,20世紀における世俗主義などの厳しい現実を超えて,全世界にわたり著しい成長を遂げ,新しい教会を生み出している.→ペンテコステ,カリスマ運動.<復>〔参考文献〕Hollenweger, W. J., The Pentecostals‐The Charismatic Movement in the Churches, Augsburg Publishing House, 1972 ; Menzies, W. W., Anointed to Serve, Gospel Publishing House, 1971 ; Stronstad, R., The Charismatic Theology of St. Luke, Hendrickson Publishers, 1984.(佐布正義)
(出典:『新キリスト教辞典』いのちのことば社, 1991)

新キリスト教辞典
1259頁 定価14000円+税
いのちのことば社