《じっくり解説》キリスト教各種協力団体とは?

キリスト教各種協力団体とは?

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キリスト教各種協力団体…

神の恵みによって救われた人々の群れが教会であり,その教会に与えられている使命は宣教活動,伝道である.全教会が,全世界に,福音の全体を伝えていくことが神からの大宣教命令である.この宣教命令の達成のために,神は全世界に,いろいろな教派,教団,教会を建てられた.だから,これらの教会が一致して伝道のために活動すべきである.多くの教派,教団,教会があるのは,その歴史的背景,教理的背景の違いがあるからだけでなく,働きの性格をも異にしているからである.というのは,それだけ異なったタイプの人々がいるということであって,その人々に福音を届けるために,いろいろなタイプの教会が生み出されたということであろう.このことからわかるように,伝道活動にはいろいろなタイプが必要である.そこで,神はいろいろな分野を専門とする伝道団体をも生み出された.<復> ある人が,「教会は,神の創造によるものであり,本質的かつ永遠なものである.これに対し,教派的,超教派的な諸機関は人造のものであり,消えていく性質のものであるので,教会と同じような不滅性を主張することはできない」と述べているが,各種協力団体もまた,神の導きの中で神によって生み出された大切な存在であると言えよう.<復> 1.各種協力団体とは.<復> 先に述べたような理由から,神によって生み出され,教会と協力して大宣教命令を達成しようとする伝道団体,宣教団体,それらの連絡協議会が存在するようになった.その働きの中には,専門的な知識や技能を必要とするものがある.教派,教団,教会は自らの働きと保持を考えるあまり,おのずと内向的になりがちである.ところがそれでは,地方教会の存在から遠く離れている人々への宣教は二義的なことになってしまいやすい.それに対して伝道団体は,地の果てまで,すべての人にという目標を掲げ,教派,教団の壁を乗り越えて働きを進めようとする.<復> 以上のことから見て,各種協力伝道を進める伝道団体はどうしても必要なのである.<復> 2.その性格.<復> (1) 専門性.文書,マス・メディア等,専門的な知識や技術が伝道に生かされ,用いられる.ラジオ,テレビ,映画等は一般の人には取り組めないものである.これらと取り組んで伝道しようとすると,時間的にも,知識的にも片手間ではできない.教会の青年たちのボランティアでは少し無理である.フルタイムでこれに当る,専門的能力を備えた人々が求められる.<復> (2) 個人性.このような専門的な能力や特殊な重荷はみなが持つわけではない.個人が,身に着けている専門的な能力や技術を用いて伝道しているうちに,一つの団体になったり,ある人の重荷・関心から出発した働きが一つの団体にまで育っていったというケースもある.ビリー・グラハム伝道協会やチャールズ・コルソンの刑務所伝道などはその例である.<復> (3) 超教派性.マス・メディア伝道は,専門的な技能とともに経済的にも力がないとできない活動である.テレビを例にとってみると,制作にも,テレビ局との交渉にも,またそれを放映する際にも多くの人材と財力とが求められる.そのために,多くの教会,多くのクリスチャンの支援が必要である.そうなると教派・教団の枠を越えた協力が必要になってくる.<復> (4) 特殊性.教会ではなかなか扱いにくいテーマを重荷として活動する団体がある.例えば,身体の不自由な人々を対象とする団体,囚人を対象とする団体,人工妊娠中絶を中止し,小さないのちを守っていこうとする団体等である.<復> 3.その役割.<復> (1) 一つの教会や教団では困難を感じるような課題に取り組む.例えば,テレビやラジオを用いる団体はこの役割を果している.技術的にも,費用の面から見ても,福音の届く人の数から見ても,一つの教会では困難を感じるところであろう.<復> (2) 教会間の協力を生み出す.教会は独自の教理や教団の枠があるため閉鎖的になりやすい点がある.その壁を破って,教会間の協力や一致を生み出す働きを超教派性を持つ伝道団体が果している.総動員伝道などの団体によってもたらされる実の一つがこのことである.<復> (3) 世界の教会,団体と協力するネットワーク化を図る.協力の輪が広がると,自国から世界へとつながっていく.例えば,ラジオ伝道のことを考えてみよう.日本語を用いてのラジオ伝道は,全世界に散っている日本人及び日本語のわかる人々を対象にすることができる.世界の各地に電波を送り出しているいろいろな団体とネットワークを組み,日本語放送を世界の隅々にまで届けることができる.ラジオ伝道のほか,様々な救援団体も世界的なネットワークのもとに奉仕を進めている.<復> 4.その問題性.<復> 各種協力団体は先述してきたような役割—存在の必要性と使命—と性格から,しばしば教会との摩擦を生じることがある.相互に十分な理解がないと,せっかくの主の働きが災いをもたらすことになりかねない.<復> (1) 支援と協力を得る困難.携わっていることの特殊性から,教会の支援を得るのが難しいことが多くある.例えば,人工妊娠中絶に反対する働きは,すべての人の理解と協力を得るのに難しさを覚える働きである.表では賛成していても,諸事情の複雑なからみがあるので,なるべくなら避けて通ろうとする分野ではないだろうか.一つの主義,主張のもとに活動している団体だからこそできる働きである.このような働きに支援を得るのは困難である.そのため,多くの各種協力団体は経済的な困難を抱えているのが実情である.<復> (2) 教会と競合する結果になることもある.教会がとらえようとして一生懸命なのだが,困難を覚えている分野として中・高生伝道,ビジネスマン伝道などがある.これらの対象にのみ時間をかけて伝道することが教会には困難である.そこでこれらの対象を専門的に伝道する団体が必要になってくる.この対象になっている人々は,なかなか教会に行けず,行ってもその層の人々があまりいない,それにそれらの人々に合ったプログラムもない.そこで団体の活動に集まってくることになるのである.<復> (3) 超教派性の問題.より広く協力を得て伝道するためには,いろいろな教派・教団に属する教会と手を取り合う必要がある.そのため,ある教理を強調することができない.むしろ教理的特殊性を持たないようにしているため,その立場があいまいであるとか,妥協しているとかの批判を受けることにもなる.<復> (4) 教会形成に直接結び付かないこともある.「すべての人に福音を」とか「日本をキリストへ」などのスローガンを掲げて伝道していくと,福音を届けること,聞かせることに重点を置くあまり,福音を聞いた人が教会に行くように導くことが後回しになってしまうことがある.そうすると教会形成を無視しているとの意見を耳にすることにもなる.<復> ある国外宣教団体の指導者はこう言っている.「パウロの一行が地の果てを目指して伝道に出かけたのは,まさに専門グループで,超教派宣教団体である.ペテロがローマの百人隊長コルネリオを救いに導き,異邦人たちが多数救われた時,初代教会は喜ばず,ペテロを批判した.宣教団体には外向性がある.教会は正統性を守ろうとするので内向的であり,出て行こうとしない.そこで神は,超教派宣教団体を起し,これによって5千にも上る聖書翻訳も可能となり,福音は地の果てにまで達し得るのだ」.<復> 5.その種類.<復> (1) 連絡を主目的とする団体.〜協力会,〜連絡協議会,〜連盟,情報収集の団体.<復> (2) 専門分野による団体.文書伝道,電波伝道,視聴覚伝道,音楽伝道,聖書翻訳,医療伝道,学術団体,福祉団体.<復> (3) 対象別の団体.児童伝道,学生伝道,職業別伝道,高齢者伝道,婦人伝道,視力障害者伝道,刑務所伝道.<復> (4) 国外宣教団体.〜宣教会,共産圏伝道,回教圏伝道,救援活動.<復>(団体の具体的な名称については,『キリスト教年鑑』〔キリスト新聞社〕を参照).(→コラム「太平洋放送協会(PBA)」「国際ギデオン協会」),→伝道.(姫井雅夫)
(出典:『新キリスト教辞典』いのちのことば社, 1991)

新キリスト教辞典
1259頁 定価14000円+税
いのちのことば社