《5分で分かる》使徒信条とは?

使徒信条とは?

スポンサーリンク

使徒信条…

[ラテン語]シンボルム・アポストロルム.三つの古来の信条(使徒信条,ニカイア信条,アタナシオス信条)の最初に置かれる信仰告白.この三つの信条を基本信条もしくは公同信条と言う.使徒信条は,ニカイア信条,アタナシオス信条と比較すると簡潔である.<復> 1.起源.<復> 信条という語は[ラテン語]クレドー(私は信じる)に由来し,信仰告白を意味する.福音の宣教によって各地に教会が誕生し,クリスチャンは共通の信仰を確認する必要に迫られた.「信仰の規準」と呼ばれる信仰告白の定式が,必要に応じて作られていく.すでに新約聖書に信条定式の原型が見出される(マタイ16:16,ローマ10:9等).2世紀になると,父と子と聖霊の,三位一体定式が一般的になっていく.<復> 「使徒信条」は,伝説では使徒たちに由来すると言われる.4世紀後半の「使徒教規」には次のように記されている.「今,一つ所に集まったわれら,すなわちペテロとアンデレ,ゼベダイの子ヤコブとヨハネ,ピリポとバルトロマイ,トマスとマタイ,アルパヨの子ヤコブ,タダイと呼ばれるレビ,カナン人シモン,ユダに代わってわれらの仲間に入れられたマッテヤ,また主の兄弟でエルサレムの監督であるヤコブ,選ばれた器,異邦人の教師であるパウロは,みな相共につどうて,あなたがたの確証のため,この公同の教理を書いたのである.あなたがたに,世界の教会の監督がゆだねられている」.しかし,この文章を支持する根拠は新約聖書にも「使徒教規」以前の文書にもない.ニカイア総会議においても言及されていない.<復> 使徒信条は,ローマで用いられた信仰規準「古ローマ信条」と呼ばれる信条に,その原型がある.その原文は,アンキュラの主教マルケロスによって340年頃にギリシヤ語で書かれた手紙に見出される.「我は父なる全能の神を信ず.またその独り子,我らの主キリスト・イエスを信ず.主は聖霊と処女マリヤより生れ,ポンテオ・ピラトのもとで十字架につけられ,葬られ,3日目に死人の中より甦えり,天に昇り,父なる神の右に座したまえり.かしこより来りて,生ける者と死にたる者とを審きたまわん.また聖霊,聖なる教会,罪の赦し,身体の甦りを信ず」.一般に,この定式は2世紀後半からバプテスマ告白文として用いたと考えられている.4世紀後半には西方諸教会に普及し,礼典に用いられていった.<復> 古ローマ信条から使徒信条への発展の過程は推測の域を出ないが,南フランスのゴール地方で5世紀中頃に生じたものと思われる.ローマにおいては古ローマ信条は,アリウス主義者も用いることができる余地を残していたために,代りにニカイア信条が用いられるようになっていった.また,アリウス的異端を排除する使徒信条は,ローマにおいて礼拝の中で用いられるようになった.こうして12世紀までには,使徒信条はローマにおいて公式のものとなっていた.<復> 2.本文と教理.<復> 歴史的に伝えられている本文はラテン語であり,日本語訳の一例は次の通りである.「我は天地の造り主,全能の父なる神を信ず.我はその独り子,我らの主,イエス・キリストを信ず.主は聖霊によりてやどり,おとめマリヤより生れ,ポンテオ・ピラトのもとに苦しみを受け,十字架につけられ,死にて葬られ,陰府(よみ)にくだり,3日目に死人の内よりよみがえり,天にのぼり,全能の父なる神の右に座したまえり.かしこよりきたりて生ける者と死にたる者とを審きたまわん.我は聖霊を信ず.聖なる公同の教会,聖徒の交わり,罪のゆるし,からだのよみがえり,とこしえの命を信ず.アーメン」(日本福音連盟聖歌編集委員会編『聖歌』による).<復> 口語訳には次のようなものがある.「天地の造り主,全能の父である神を私は信じます.そのひとり子,私たちの主イエス・キリストを,私は信じます.主は聖霊によってやどり,おとめマリヤから生まれ,ポンテオ・ピラトのもとに苦しみを受け,十字架につけられ,死んで葬られ,よみに下り,3日目に死人の中から復活し,天に昇られました.そして全能の父である神の右に座し,そこから来て,生きている人と死んだ人とをさばかれます.聖霊を,私は信じます.また,聖なる公同の教会,聖徒の交わり,罪のゆるし,からだの復活,永遠のいのちを信じます.アーメン」(『ルーテル教会信条集《一致信条書》』による).<復> 礼典において用いられていた使徒信条は,宗教改革者たちによって信徒教育のために用いられるようになった.ルターは「ルターの大・小教理問答書」の第2部で使徒信条を「信仰」の項として解説している.カルヴァンは「ジュネーブ信仰問答」の第1部で取り上げている.宗教改革は,古来の信条を重んじ,特に使徒信条を教理の解説の中心に据えることによってプロテスタント信仰の正統性を明らかにしたと言えよう.また,使徒信条の三位一体的形式は,神の唯一性と父,子,聖霊の人格性を明確にしている.父なる神には「創造」のみわざが,イエス・キリストには「救い」のみわざが,聖霊には「聖化」のみわざが帰せられる,と言うことができよう.<復> ニカイア信条やアタナシオス信条のように総会議で決定されたのではなく,使徒信条がバプテスマ教育の中から生れ,さらに,異端を排しつつ正統信仰を明確にしていくために長い年月をかけて形成され,教会の信仰告白となっていったことは摂理的である.使徒信条は,キリスト教信仰の基本を明らかにし,諸教会の一致のきずなとなり,しるしとなった.現代の日本の教会でもしばしば,使徒信条の講解説教が行われ出版されている.→信条・信条学,信仰規準,信仰の告白,使徒教規.<復>〔参考文献〕『使徒信条』(加藤常昭説教全集1)ヨルダン社,1989;W・D・オルベック『福音的信仰の遺産』聖文舎,1969;Kelly, J. N. D., Early Christian Creeds, Longman, 1950.(勝原忠明)
(出典:『新キリスト教辞典』いのちのことば社, 1991)

新キリスト教辞典
1259頁 定価14000円+税
いのちのことば社