《5分で分かる》シンプル・ライフスタイルとは?

シンプル・ライフスタイルとは?

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シンプル・ライフスタイル…

シンプル・ライフスタイル(簡素な生活様式)の原則は旧新約聖書の中に明示されているが,聖書を「誤りない神のことば」と信じる福音派クリスチャンたちが,生活様式を簡素化していく問題を聖書的見地から具体的に世界的規模で取り上げたのは,1974年に開催されたローザンヌ世界伝道会議においてである.それまでは個人的なレベルで,あるいは特定の地方や地域だけで考えられていたこの問題が,個人の信仰生活のみならず,キリストの宣教命令遂行と深くかかわっていることに注目させられ,ローザンヌ誓約第9項に次の声明が加えられることになった.「私たちはみな,多くの人々が貧苦の中にあることに衝撃を受けており,その原因となっているさまざまな不正不義に対し心の痛みを覚えている.私たちのうち,恵まれた境遇の中に生活しているものは,救援活動と伝道の両面においてより積極的に貢献してゆくために,簡素な生活様式を取り入れてゆくことを,私たちのつとめとして受け入れる」.<復> 世界に向けてこの表明がなされた後,ローザンヌ世界宣教委員会の神学,教育部会と,世界福音同盟神学委員会の倫理,社会部会が,この問題について研鑽を重ねてきた.そして1980年3月,英国ロンドン郊外で4日間にわたるシンプル・ライフスタイルに関する国際会議が開かれるに至った.そこで,神学,倫理,社会,経済,歴史学などの見地から考察がなされただけでなく,社会的不公正の中で抑圧されたり,貧困に苦しむ国々や地方の人々のなまの声を聞くことによって,聖書を基として宣教,救援活動,社会正義と公正という観点からも学びがなされた.その集大成が「簡素な生活様式への福音的誓約」の声明である.<復> それではシンプル・ライフスタイルとは何か.それは単に無駄を省いて,生活を少しでも質素にするというだけのことではない.ましてや無味乾燥な禁欲主義でもなければ,一定の様式で人の生活を律するような律法主義でもない.それは第1に,万物を創造された神の主権と権威を信じ受け入れ,神に感謝して生活することである.創世記に示されている天地創造の記述は,すべてのものに神の主権が及んでいることを強調している.そして神に似るように神のかたちに造られた人は,豊かに恵まれた環境に置かれた.それは神のかたちに造られた人が神の主権のもとにあって,神から依託されている資源を正しく管理運用して神の栄光を現すためである.しかし人は創造主なる神に反逆して罪を犯し,神の主権を否定する者になった.その結果,人の手によって自然破壊,環境汚染が進み,個人の欲望を満たすための浪費や不正な蓄積が行われるようになった.人が神から遠く離れているこの破滅的状態に目覚めて悔い改め,キリストの十字架を通って神に立ち返る時,神との正しい関係が回復され,人の福利のために神が託して下さった自然や資源とのかかわりもまた正常化されるのである.その時,人は,かけがえのない自然と資源を信託して下さった神に対する深い感謝とともに,神からゆだねられているものを責任をもって管理運用するようになる.そこには無責任な浪費や不公正な蓄積はあり得ない.<復> 第2に,シンプル・ライフスタイルはスチュワードシップの基本にかかわることである.創世1:26‐28に示されているように,神が人を創造された時,地を支配する権限を人にゆだねられた.それは,人は天然資源の管理者(スチュワード)に任命されたということである.つまり,人は創造主なる神に対して,神の資産を忠実に管理する責任を負うものとされ,同時に,それを神の栄光と人々の福利のために誠実に用いる務めをも任されたのである.この厳粛な事実を信仰をもって受け入れる時,神の主権に承服するあかしとして,神にささげるべき時間,財,能力,才能などをキリストのからだなる教会を通してささげるようになる.そして自分の必要のために用いられるものであっても,知恵を働かせて注意深く使い,自分の欲求を満足させるためにだけ用いるようなことはしない.このようにして神の栄光と人々の福利のためにささげられたものを神は祝福され,世界宣教のため,さらに救援活動や開発援助のためにも用いられていくのである.<復> 第3に,シンプル・ライフスタイルは主の再臨を待ち望む生活にかかわることである.神は聖書全体を通して,貪欲な者,偶像崇拝者,あらゆる抑圧者に対して主権者なる神の審判が下されることを宣言している.そしてまた,創造主なる神が一人一人に信託された神の資産を,人はどのように管理運用してきたかについても,最後の審判の日にその責任を問われると,キリスト御自身がいろいろなたとえをもって示しておられる(マタイ19:16‐26,ルカ12:41‐48,19:11‐26).この世に生かされている間,神の主権に従い,神の信託に忠実誠実にこたえてきた人は,大きな喜びのうちに主の再臨を迎えることができるのである.主イエス・キリストの救いによって自己中心と利己主義から解放された人が,主権者なる神への従順,貧困と抑圧の中にある人々に対する真実なあわれみ,福音宣教と社会正義公正への深い配慮,そして神の最後の審判に対する厳粛な期待をもって,神の栄光を現すために生きていくことがシンプル・ライフスタイルである.<復>〔参考文献〕『シンプル・ライフ・スタイルへのすすめ—簡素な生活様式への神の招き』(誰もが知りたいローザンヌ宣教シリーズNo.20)関西ミッション・リサーチ・センター,日本福音同盟,1985.(三ッ橋信昌)
(出典:『新キリスト教辞典』いのちのことば社, 1991)

新キリスト教辞典
1259頁 定価14000円+税
いのちのことば社