《5分で分かる》ブレザレン派とは?

ブレザレン派とは?

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ブレザレン派…

[英語]Brethren.制度化した教会を否定して,兄弟姉妹の交わりを本質とする教会形成を目指す一派.「兄弟団」の意.新約聖書の中で信徒が互いを兄弟と呼び合ったことがその背景にある(マタイ5:22,18:15,ルカ6:41,使徒7:26,Ⅰヨハネ2:11).フスの流れを汲むチェコ・ブレザレン,アナバプテストの母体となったスイス兄弟団,さらにはイギリスに発生したプリマス・ブレザレンなど,兄弟団の名を持つ教会は幾つかある.今日,ブレザレン派として知られる代表的なものはブレザレン教会(Church of the Brethren)である.<復> 1.ドイツにおける出発.<復> 17世紀ヨーロッパの各地には信仰上の不満を覚える人たちが多くいた.特に南ドイツのプファルツ地方では領主の信仰が変るたびに領土内の公認宗教がカトリック,ルター派,改革派の三つの間で,150年の間に8回も変り,さらにフランスの侵入なども混乱に輪をかけた.教義の厳密な知的理解よりも信仰の実践を重んじる敬虔派から影響を受けた一群れの人々が,聖書の学びと祈りのために集まることを始めたが,それも不穏な動きとして国家権力から圧力を受けた.アレグザーンダ・マック(1679—1735年)と彼に導かれた7人は比較的寛容だったヴィトゲンシュタインに逃れ,1708年,そこでアナバプテストの範に倣い,主イエスに従う兄弟姉妹として互いにバプテスマを授け合って,信じる者のみから成る共同体を形成した.「再浸礼」の禁を犯したわけで,この後さらに厳しい弾圧を国教会から受けることになる.彼らは互いをブレザレン(兄弟)と呼び合ったが,周囲は彼らをdie Neu Ta¨ufer(新しいバプテスト)と呼び,古い″バプテスト″,つまりアナバプテストと区別した.ゴットフリート・アルノルト(1666—1714年)の影響を強く受けて,初代教会の形態を忠実に再現することを強調し,例えば浸礼のみを正しいバプテスマとした.そのためにドイツ語のtunken(浸す)からダンカー派とも呼ばれた.<復> 2.ブレザレン教会の発展.<復> あくまでも公認の教会内にとどまろうとする他の敬虔派からの反対も受けたが,活発な伝道活動を行って群れは成長し,国教会からの迫害はさらに強まった.オランダ,スイスにしばらく滞在した後,1719年から1735年にかけて米国に移住,ペンシルベニアのジャーマンタウンに教会を組織した.初期には男性教会員が一人残らず伝道に従事し,教会は目覚しい成長を遂げた.ジャーマン・バプテスト・ブレザレンとも呼ばれたが,これはイギリスに源を持つバプテスト教会と区別するためである.1732年,J・コンラド・ビーセルは修道院的な共同生活を営むエフラタ共同体を設立した.これはアナバプテストの歴史書『殉教者の鑑』を出版したことで知られている.1880年から1882年の間に教会は分裂を経験した.教会の保守性に飽き足らない群れがブレザレン・チャーチとなり,一方伝統を守り通そうとする者はオールド・ジャーマン・バプテスト・ブレザレンとなって離れた.中道を行く最大の群れは1908年,ブレザレン教会の名称を公式に採用し,現在に至っている.<復> 3.ブレザレン教会の特長.<復> (1) 信条にとらわれないで新約聖書のみを権威とする信仰.人間の作成した文書に縛られることなく,絶えず聖書に聞こうとする柔軟性を重んじる.<復> (2) 生活においてイエスの模範に従う弟子の道.この世的なものから離れて簡素な生活,質素な服装,倫理性を旨とする.<復> (3) 新約聖書に基づく礼典と教会生活.バプテスマは浸礼による.聖餐は共同体の中心を占める重要な行事だが,愛餐及び洗足を伴うものであって,食事を共にする.教会は信じる者のみが構成する共同体である.特別な霊の賜物を与えられている者に按手をするが,信徒一人残らずが奉仕者として召されていることを信じる.<復> (4) 愛と平和の実践.メノナイト,クエーカーとともに歴史的平和教会を構成し,あらゆる戦争に反対する.第1次世界大戦の際に,平和主義を貫こうとしたためにこうむった多くの困難から,上述の3教会は協力して政府に働きかけ,その結果第2次世界大戦では良心的兵役拒否者として民間公共奉仕作業(Civilian Public Service)に従事した.ブレザレン派のある者は飢餓実験の実験台に立った.1941年設立のブレザレン奉仕委員会(Brethren Service Committee)は救済事業,福祉のために活発な活動をした.飢えに悩む国々に,牛乳を送る代りに生きた雌牛を送る運動「ヘファー・プロジェクト」(Heifer Project)はよく知られている.→共同体運動,アナバプテスト,敬虔主義.<復>〔参考文献〕Mallott, F. E., Studies in Brethren History, Brethren Publishing House, 1954 ; Brown, D., Brethren and Pacifism, Brethren Press, 1970 ; Durnbaugh, D. F., The Believers’ Church : The History and Character of Radical Protestantism, The Macmillan Company, 1968.(棚瀬多喜雄)
(出典:『新キリスト教辞典』いのちのことば社, 1991)

新キリスト教辞典
1259頁 定価14000円+税
いのちのことば社