《5分で分かる》カルケドン総会議とは?

カルケドン総会議とは?

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カルケドン総会議…

[ラテン語]Concilium Chalcedonense,[英語]Council of Chalcedon.451年に東ローマ(ビザンチン)皇帝マルキアノスにより,帝都コンスタンティノポリス対岸の小アジヤの都市カルケドンに召集され,古代教会会議では最高の500—600名の東方教会主教及びローマ教皇特使の出席を得て開催された.431年のエフェソス(エペソ)総会議以来,おもに東方教会を揺がしてきたキリストにおける神性と人性との関係を巡る論争に一応の結着を見,キリスト二(両)性一人格論を確立した.第4回世界教会会議(Ecumenical Council)とも呼ばれる.<復> 1.カルケドンの勝利.<復> ニカイア総会議(325年)はキリストの神性を「同質」(homoousios)の用語をもって宣揚し,アリオス(アリウス)主義を退けて三位一体論を確立した.その後問題となったのは,キリストにおける神性と人性との関係であった.すでにコンスタンティノポリス総会議(381年)は,キリストの神性を強調するあまり完全な人性を認めないアポリナリオス説を退けた.それ以降,神学的にはこの問を巡ってのアンテオケ学派とアレキサンドリア学派との対立となり,それぞれの学派の極端な立場であるネストリオス(ネストリウス)とエウテュケースの異端問題へと発展した.エペソ公会議は,キリストの人性の独自性を強調して二性二人格論に陥ったとされるネストリオスを異端とした後,両派の対立から会議運営で混乱を招いた.エウテュケースの場合,448年のコンスタンティノポリス主教会議でキリスト単性論の異端とされながら,翌年エペソで開かれた,いわゆる「強盗会議」によりその名誉が回復されるなど,両派の対立は深まった.このような背景の中で,教会内の統一を求める声を反映して開かれたカルケドン総会議は,第1にニカイア正統主義への忠誠を明らかにし,コンスタンティノポリス総会議が作成したとする信条を確認した.次いで,反ネストリオスと反エウテュケースの二つの書簡を正統的立場として受理した.一つは,アレキサンドリア総主教キュリロスのネストリオス宛書簡で,ネストリオスを異端とするローマ及びアレキサンドリアの教会会議の決定を通知したもので,もう一つはローマ教皇レオ1世の教理書簡(tome)で反単性論の立場を明らかにして会議に影響を与えたものである.最後に,二性一人格論を明確に表明した「信仰定式」(definitio)と呼ばれたカルケドン信条を作成し,また教会政治上の法規を採択した.結果的には,二性二人格論と単性論の双方を退け「カルケドンの勝利」となったが,両学派の対立を解消するには至らなかった.また,その後ネストリオス教会の多くはペルシヤに逃れ,単性論に立つ教会は東方教会の交わりから離脱することとなった.<復> 2.教理史的意義.<復> キリストの神性と人性との関係について古代教会には二つの基本理解があった.一つは,「人となった」([ギリシャ語]enanthropesis)とする立場で,キリストの受肉の意義と人性を強調することができる.もう一つは「肉体を取った」([ギリシャ語]ensarkikos)とする立場で,神であるロゴスが人間の肉体を取ったと言うことから,神性を強調することができる.カルケドン総会議の背景では,アンテオケ学派は「人となった」とする立場をとり,キリストの人間としての歴史性を重んじ,養子論のある側面を正統の枠内に保持しようとした.これに対し,アレキサンドリア学派は「肉体を取った」とする立場で,キリストの神性を重んじ,仮現説のある側面を保持しようとした.ネストリオスはアンテオケ学派の急進派で,人性の独自性を強調するあまりキリストには神性と人性それぞれに対応する二つの人格的中心点があることとなり,さらに,両者の結合も実体的であるよりは相対的・道徳的結合であったため,神人の二人格を認めることとなった.また,マリヤを人人格のみの母と見なし,「神の母」との称号に反対した.一方エウテュケースはアレキサンドリア学派の急進派で,神性と人性との実体的結合を強調するあまり,その結合の結果,人性は人間のものとは異なる神化されたものとなり,「結合(受肉)以前には両性,結合後は単性」(単性論)の主張となった.カルケドン総会議は,ニカイア総会議によって狭められた正統の枠をさらに,両学派の対立の線に沿って狭めたことになる.<復> 3.カルケドン信条.<復> 信条の直接の目的は,ネストリオスとエウテュケースの異端に対し正統信仰を確立することであった.そのため,キリストの神性と人性の関係について,教皇レオの教理書簡が用いた四つの否定語,「混交なく,転化なく,分割なく,分離なく」が有効に用いられている.また,世界教会信条では初めて,マリヤに関し「神の母」の称号を与え,「神の母である処女マリヤより生れ」と表現されている.カルケドンのキリスト論は東方教会,ローマ・カトリック教会,プロテスタント諸教会の正統主義キリスト論の根本である.→キリスト論論争,三位一体・三位一体論争,信条・信条学.<復>〔参考文献〕H・デンツィンガー編,A・シェーンメッツァー増補改訂『カトリック教会文書資料集』改訂3版1988;Sellers, R. V., The Council of Chalcedon, 1953.(丸山忠孝)
(出典:『新キリスト教辞典』いのちのことば社, 1991)

新キリスト教辞典
1259頁 定価14000円+税
いのちのことば社