《5分で分かる》39箇条(聖公会大綱)とは?

39箇条(聖公会大綱)とは?

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39箇条(聖公会大綱)…

[英語]The Thirty‐Nine Articles.39箇条は,英国教会が16世紀の神学論争に決着を付けるために受け入れた教義要綱である.これは信条の形でキリスト教の教理を述べたものではなく,またすでに受け入れられている教理を説明するものでもなく,ローマ・カトリック教会,アナバプテスト派,並びに改革派教会に対して英国教会の教理的立場を明らかにしたものである.<復> 宗教改革期を迎えたイギリスでは,39箇条以前にすでに,幾つかの信仰箇条が出されていた.本質的にはローマ教会と同じ教理的立場である10箇条(1536年),T・クランマーとN・リドリの影響を受けていると言われる主教の書(1537年),アウグスブルク信仰告白に根差す13箇条(1538年),ローマ・カトリック教会の立場そのものである6箇条(1539年),主教の書に対して反動的な立場で書かれた王の書(1543年),プロテスタントの立場の42箇条(1553年)などである.<復> エドワード6世の即位とともにカンタベリー大主教クランマーと改革派が実権を握るようになり,彼らは6箇条を廃して第1祈祷書を公にし(1549年),数年後には前者よりもさらに改革路線を鮮明にした第2祈祷書に改訂した.教理的改革に続いて礼拝改革がなされた.また,クランマーはドイツ並びにスイスの改革者の援助を得て,プロテスタント教会全体が一致できる福音的公同信条の作成を意図したこともあったが,英国教会の教理的立場を公にする42箇条の作成が優先されたために実現には至らなかった.42箇条の作成は,1549年にまずクランマーが着手し,改訂の手が加えられて後1552年11月に完成し,翌年小教理を付し,王の承認を得て出版された.42箇条はクランマーの作とされており,他の改革者たちがどれ程関与したかは明らかでない.このエドワード6世時代の42箇条は本質的には39箇条と同じである.<復> 42箇条が出版されると間もなく王は1553年7月6日に亡くなった.エドワード6世の後,カトリック信者のメアリ1世が女王になるとクランマーとリドリは火刑に処せられた.カンタベリー大主教にはカトリックの立場の者が選ばれ,イギリスのカトリック復帰がもくろまれたが,女王の死によって実現しなかった.やがてエリーザベス1世が王位に着くと,彼女はM・パーカーを大主教に選んだ.<復> 1563年1月にエリーザベスが招集した二つの主教会議のうちの最初の会議で,パーカーは他の者の応援を得て作成した42箇条のラテン語版の改訂版を議会に具申した.上下両院は検討の後,これを39箇条に改訂して承認した.主教たちと下院議員によって批准され,署名され,1563年に出版された.1571年の主教会議では39箇条の英語テキストが採択された.これは1563年のラテン語版とは多少の相違があるが,ラテン語と英語の両テキストが等しく権威あるもの,また相互に補足するものとして受け入れられている.<復> エリーザベス1世の後を継いだジェイムズ1世は,ドルト(ドルドレヒト)会議以後,アボット大主教に命じて下級聖職者がカルヴァン主義者にしろ,アルミニウス主義者にしろ,全的堕落,無条件的選び,制限的贖罪,不可抗的恩恵,聖徒の堅忍などのいわゆる5ポイントに関する説教をすることを禁じさせた.次のチャールズ1世は,教会によって正式に承認されていない見解を述べたり公にしたりする者は罰すると脅したが一向に効力がなかったので,39箇条の解釈に限界を設ける意図を持った序文を付した上で39箇条を再出版することを命じた.この序文は1628年に公にされ,その後は英語版に付記されている.序文の意図するところはカルヴァン主義を規制し,39箇条に対する神学的見解の発表を制限することにあった.このような処置はアルミニウス主義者と高教会派(ハイ・チャーチ)には有利であったが,カルヴァン主義者と下院で優勢を占めていたピューリタンの立場を不利にした.<復> 39箇条に対しては高教会派,アルミニウス主義者,カルヴァン主義者それぞれが自分たちの解釈を持っていた.しかし,この39箇条は本質的には公同的であり,ルター派,改革派とも一致する立場である.ただし,教会政治論の立場はエラストゥス主義である.またラテン語版35条(英語版では36条)は祈祷書と職制に言及しているが,これは純粋にアングリカンの主張である.39箇条に影響を及ぼしているものにはアウグスブルク信仰告白,ヴュルテンベルク信仰告白,ツヴィングリ,ブリンガー,カルヴァンなどの著作がある.この意味で39箇条は,福音的プロテスタント信条の一つと言うことができる.<復>〔参考文献〕M’Clintock/Strong (eds.), Encyclopedia of Biblical, Theological and Ecclesiological Literature, Harper & Brothers, 1896 ; Schaff, P., The Creeds of Christendom, Vol.1, Harper & Brothers, 1931.(泥谷逸郎)
(出典:『新キリスト教辞典』いのちのことば社, 1991)

新キリスト教辞典
1259頁 定価14000円+税
いのちのことば社