《5分で分かる》アメリカ・ホーリネス運動とは?

アメリカ・ホーリネス運動とは?

アメリカ・ホーリネス運動…

1.メソジストの父ジョン・ウェスリ(ウェスレー)が18世紀英国の福音覚醒運動で強調した全的聖化(Entire Sanctification)とキリスト者の完全(Christian Perfection)の教理と経験を,19世紀のアメリカの教会に復興して,再強調しようとの意図で始められた運動のことで,その結果幾つかの教団や団体の誕生や発生にまで至ったもののことである.その原因は,アメリカに広がっていったメソジスト教会の主流に,ウェスリの伝えた「全的聖化・キリスト者の完全」に対する熱心の冷却化や,批判が見られるようになったことで,その教理と経験を再強調することを使命と感じた者たちによって推進されてきた.特に強調された点は,全的聖化がキリスト者の「第2の転機的な恵み」として,瞬時的に経験されなければならないということであった.第1の転機には,人間が行為として犯した罪から救われるのであって,その時に新生してキリスト者とされるのであるが,まだそれらの罪を犯させる罪の性質は人の内に残存している.しかし第2の転機でその罪の性質はきよめられて,人は愛に全うされ,罪に全く勝つ生涯を送り得る者とされ,しかもその経験に,瞬時に導き入れられる,というのである.ウェスリの伝えた事柄の中で,特にこれらの点がメソジスト主流教会でおろそかにされたことへの反動と是正,またその再強調が,ホーリネス運動の中心であった.<復> 2.南北戦争の原因の一つとなった奴隷解放問題について,明白な態度と実践に立たなかったメソジスト教会から,1840年代にオレンジ・スコットが独立してウェスレアン・メソジスト教会を設立したことに端を発し,1860年にはB・T・ロバーツが,同様な理由に加えて,聖化の主張の弱体化を批判して,メソジスト教会のジェネシー教区から追放され,その結果,自由メソジスト教会が組織されるに至った.一方,1830年代には,サラ・ランクフォードとフィービ・パーマーの二婦人が「火曜日集会」として知られる集会を開始し,同様の集会を各地に開いて,それがホーリネス復興運動を推進するようになった.1860年代には「聖化推進キャンプ集会全国協会」が組織され,それは何度か組織替えや改名を繰り返して,今日の「クリスチャン聖化協会」(CHA)となっている.この頃,各地に「神の教会」と称する幾つかの教団が生れ,その多くはペンテコステ派となっていったが,インディアナ州アンダーソンに本部を有する教団は,ウェスレー主義と堅く結び付いて残っている.歴史的にはウェスリたちと源を別にする人たちの中にも,更に深くきよめられた勝利の生涯,更に高いクリスチャン生活を強調する者が起ってきて,ホーリネス運動の流れの一部となるものが生れた.メノナイトや,改革派の中からも,クリスチャン・アンド・ミショナリー・アライアンスとか,大リバイバル運動の指導者でオベリン派と言われるチャールズ・G・フィニやアサ・メイハーン,英国に端を発した救世軍,組合派の信徒医師アップハム,長老派のボードマン,バプテストのA・B・アールなどもこの大きな運動の一部と見られ,クエーカー派のR・ピアソル,ハンナ・W・スミス夫妻なども含まれる.もちろんメソジスト主流からも共鳴加担する者が少なくなかった.英国のオズワルド・チェインバーズやパジト・ウィルクスなども,アメリカにおいてではないが,相通じている.<復> 3.現在では次のように大きく三つに区別される.(1)ウェスレアン・ホーリネス運動は,ウェスレー主義を保持してそれを強調しているもの.(2)ケズィック・ホーリネス運動は,1875年に英国ケズィックで開かれた大会に発端を持つもので,改革派神学の影響を受けたウェスレー主義の特徴を持ち,第2の転機を言う者もあるが,罪の性質の全的で瞬時的なきよめは言わない.F・B・マイアーやアンドルー・マーレイなども含まれていると言えよう.(3)ペンテコステ派と呼ばれるもので,現状においては,ウェスレー主義とはかなり異なるものとなっているものが多い.ホーリネス経験を聖書の五旬節(使徒2章)と「第2の転機」と並べて,異言や神癒などをこの経験の証拠として強調するものが少なくない.これらの異なる動きを,同じホーリネス運動の下に理解することは,現代においては適切でなく,むしろ区別して見るべきである.<復> 4.ホーリネス運動に加わる者たちが,この物質主義的な時代に,霊的な生活を立証顕示している意義は小さくないが,エリート意識,戒律主義,静寂主義,文化否定主義,反知性主義,自己欺瞞,熱狂,道徳的無感覚,非現実主義などと見られる奇形の信仰生活や意識に,知らずして落ち込むことのないように,ホーリネス運動にかかわる者たちは心しなければならない.加えて,聖霊を強調するのあまりに,聖書を信仰の唯一の規範とせずに,それを超越したり,聖書を超えた特殊啓示や経験を主張したり,尊重重視したりすることは許されるべきではない.→メソジスト主義,ウェスレー主義,聖化運動,きよめ,ホーリネス.(蔦田眞實)
(出典:『新キリスト教辞典』いのちのことば社, 1991)

新キリスト教辞典
1259頁 定価14000円+税
いのちのことば社