《5分で分かる》フランクフルト宣言とは?

フランクフルト宣言とは?

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フランクフルト宣言…

1970年ドイツの福音的神学協議会が主催した宣教会議で採択された宣言.背景には,1968年ウプサラで開かれた世界教会協議会(WCC)第4回大会を契機として先鋭化の度を強めていたエキュメニカル運動と福音派の宣教論との激しい対立があった.いわゆるエキュメニズムは,教会の使命とは「神の派遣([ラテン語]ミシオ・デイ)に参与することによって世界の状勢を変えていこうとすること」であると考える.この宣教論は「救いの告知の事実上の放棄であるとともに,完全にこの世的社会倫理的あるいは革命的運動にまで深く落ち込んでいく」と憂慮される状態であった.こうしたことの影響力が強くなっていることへの危機意識がこの宣言を生み出したと言える.<復> 宣言そのものは前文と,「宣教についての七つの不可欠な根本要素」と題しての本文から成る.聖書のみことばを前提にしての福音信仰の宣教理解を簡潔に明示している.そしてエキュメニカルの新宣教論を強く批判すると同時に,時代の挑戦への聖書的な対応を緊急に訴える内容となっている.<復> 1910年のエディンバラ世界宣教会議以来の流れを継承して1921年以来活動していた国際宣教協議会(IMC)は,1961年ニューデリーでのWCC第3回大会でWCCに吸収合併され,その一部門となった.新部門の目標をその規約は,「イエス・キリストの福音を全世界に宣べ伝え,すべての人々がイエスを信じて救われること」と規定している.フランクフルト宣言は前文でこのことを確認する.そしてこれが新約の使徒たちの第1の関心事であり,またプロテスタント宣教の先駆者たちの「宣教理解の回復」であるとしている.現代のキリスト教の世界宣教の重大な危機が,外からの反対や,教会,宣教団体の問題よりもむしろ宣教そのものの動機や目標が「邪悪なだましごとによって」すり替えられることにあると,宣言は警告している.<復> WCCと合併されるまでのIMCは,19世紀以来,世界宣教を反省し,新しい宣教へのアプローチを試みていた.そこにはエキュメニカルな宣教論との共有部分があったからこその合併であった.しかしウプサラ大会において,一般の代議員たちの意見を代表するとは言えない形(P・バイアハウス)で「新エキュメニカル宣教観」が承認される.その基本にある考え方をバイアハウスは次のように要約している.「宣教の神学的理解はキリストの教会に対する大委任命令から出ているのではなく,むしろ,世界における神の支配的行為にその端を発しているのである.神は,初めからこの世界で活動し続けておられるのであり,従って,初めから宣教の神である.一連の革命的な行為を通して神は世界をご自身の目標へと導いておられる.この目標とは,神の国であって,それは,神ご自身によって定められた…それは,完全な平和と人類の繁栄の状態であり,″…義と平和とは,互いに口づけし…″(詩篇85:10‐12)と言われるような状態である」(『宣教のめざす道』いのちのことば社).このことは,ウプサラが伝道と世界宣教の働きを放棄したことを意味する.<復> このような状況が,いわゆるエキュメニカル派と福音派の対立という形で先鋭化する.しかしフランクフルト会議の背景には,もう一つ重要なことがあったと思われる.それは1968年ウプサラ会議の直後に,次のエキュメニカル世界宣教会議でのテーマが「今日の救い」となることが発表されたことである.このことは,WCCの宣教論が宣教の根本の目的についての討議の必要を改めて認めたとして受け止められた.フランクフルト宣言は,深まり行く混迷の中でエキュメニカルの考え方を正す望みが全く失われてはいないという立場からの宣言であった.新しい宣教論の過ちと正しい立場を,改めて聖書のみことばの証言とその吟味によって明らかにしようとしたのである.WCCそのものの方向転換を求め,世界宣教のための広い一致の基礎が据えられることを求めたものと思われる.<復> 宣言は第1項で次のように述べている.「キリスト教の宣教は,復活された主イエス・キリストとその救いのみわざにのみ宣べ伝える内容,働き,目標,基礎を持っている…宣教は福音の本質そのものに根ざしている」.それゆえにこの宣言は,宣教が「現代の社会的政治的分析」や「世界一般の必要から出発する傾向」に強く反対する.また「キリスト御自身が他宗教,歴史の変化や革命の中に隠れて臨在するので,″福音の直接の伝達″なしで人は救われる」とする考えを拒否する.そして永遠の救いの約束はキリスト以外に与えられていないことを明確に宣言するのである.しかし1972—73年の「今日の救い」をテーマとするバンコク会議は,エキュメニカルと福音派の対立をさらに決定的なものにしてしまう.フランクフルト宣言は,そこでは西ドイツの「神学者仲間の内輪げんか」としてしか扱われなかったと言われる.→エキュメニカル運動,ローザンヌ誓約.<復>〔参考文献〕P・バイヤーハウス『宣教のめざす道』いのちのことば社,1973.(舟喜 信)
(出典:『新キリスト教辞典』いのちのことば社, 1991)

新キリスト教辞典
1259頁 定価14000円+税
いのちのことば社