《5分で分かる》対抗宗教改革とは?

対抗宗教改革とは?

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対抗宗教改革…

[ドイツ語]Gegenreformation,[英語]Counter Reformation.16世紀及び17世紀初期におけるローマ・カトリック教会内の改革運動で,一部プロテスタント宗教改革に触発されて,それへの対抗的性格を強くして展開したものである.19世紀中期,ドイツの歴史学者L・ランケが注目して以来この名称が広まったが,この運動が宗教改革に先行するものでもあり,また独自の教会改革としての性格も強く,今日多くの学者により「カトリック宗教改革」と呼ばれている.宗教改革と同様,対抗宗教改革も多様な伝統や要因によって起されたものであるが,以下に顕著なものを列挙する.<復> 1.修道院改革の伝統.<復> 中世カトリック教会の改革はおもに修道院から起き,それゆえに実践的,道徳的性格の強いものであった.16世紀前半からイタリアやスペインの在来修道院や新設修道院を中心に新しい改革運動が生じた.1524年,カイェターヌスがカラッファ(後の教皇パウルス4世)とともに創設した,新設のテアティノ修道会,1528年にフェリーチェによりフランシスコ修道会から独立したカプチン修道会,1532年にジローラモ・エミリアーニにより始められたソマスキ修道会,アントーニオ・ヅァッカリーアにより翌年創立されたバルナバ会,1535年に女子教育のためメリーチにより始められたウルスラ会,ネーリにより始められ,1575年にオラトリオ修道会として公認されたものなどが,禁欲と犠牲の理想に燃えて宣教,教育,救済,医療,海外宣教などに活躍した.教理や教会制度上の改革として始まったプロテスタント宗教改革が進む中でのこの伝統の存在は,対抗宗教改革の一側面を明らかにしたと言える.そして,この伝統中最大の修道会は,ロヨラのイグナティウスがハビエル(ザビエル)らとともに創設し1540年認可を受けたイエズス会である.イグナティウスの『心霊修行』(霊操)が示すような霊性,教皇への絶対服従,学業への献身をもって対抗宗教改革の旗手となり,後にロベルト・ベルラルミーノやペトルス・カニーシウスなどの大学者を輩出した.<復> 2.トリエント公会議.<復> ルターの改革に対する初期の対応が大幅に遅れたとは言え,教皇及び教皇庁からの改革の衝動は教皇パウルス3世の就任(1534年)により大きく前進した.有能な人材を枢機卿として登用して委員会を結成し,「教会改善建白」を答申させてトリエント公会議への道を開いた.カトリック教会が第19回世界教会会議と認めるトリエント公会議(1545—63年)において,プロテスタント神学に対抗して,聖書と伝承,原罪,義認,秘跡などの教理が中世カトリシズムの伝統に沿って再確認された.この公会議において対抗宗教改革の最も先鋭化された表現を見ることができる.この時代,パウルス4世(1555—59年在位)は大胆な改革を教皇庁に対して行い,次の教皇ピウス4世(1559—65年在位)はトリエント公会議の最終会期を開催し,公会議で決定された改革規準を実践に移し始めた.次のピウス5世(1566—72年在位.この時代には例外的に聖人に叙せられた教皇)は,積極的な改革を進め,また,公会議の教理を流布するための問答書である『公教要理』を改訂し,トマス・アクィナスを「教会博士」と宣言してカトリック神学の基本と定め,その著作集を刊行した.このような,公会議や教皇を中心とする改革運動に対抗宗教改革の公式的な実質を見ることができる.<復> 3.政治的影響.<復> 対抗宗教改革はヨーロッパのカトリック君主たちの再生という一面も伴った運動であった.16世紀前半に全ヨーロッパ的動きとして君主たちのプロテスタント信仰への転向が見られた.ドイツ,スイス,スウェーデン,デンマーク,ノルウェー,スコットランド,オランダにこの動きは顕著で,カトリックの牙城フランスにもカルヴァン主義の台頭により政治権力が二分化される危険が生じた.これに対し,トリエント公会議をもって立て直しをはかったカトリック勢力は16世紀後半から17世紀にかけてプロテスタント陣営に対し攻撃を加える側に立った.例えば,教皇パウルス3世がイタリアの君主など指導者へのプロテスタント信仰の侵入を防ぐため1542年に設置したローマ宗教裁判所は,その大審問官から教皇となったピウス5世の時代に,プロテスタント君主らをイタリアから組織的に排除することに成功した.また,ポーランド,ハンガリー,ボヘミアにおけるプロテスタント勢力は後退し,カトリック優勢となった.宗教戦争により国を二分したフランスは,ナントの勅令(1598年)によりプロテスタントに礼拝の自由は認められたが,大勢はカトリック側に大きく傾いた.→プロテスタント宗教改革.<復>〔参考文献〕Daniel‐Rops, H., The Catholic Reformation, 1962 ; Kidd, B. J., The Counter‐Reformation, 1550—1600, 1933.(丸山忠孝)
(出典:『新キリスト教辞典』いのちのことば社, 1991)

新キリスト教辞典
1259頁 定価14000円+税
いのちのことば社