《5分で分かる》ベルリン宣言とは?

ベルリン宣言とは?

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ベルリン宣言…

1966年11月4日,ベルリン世界伝道会議の締めくくりとして発表された文書.原名はClosing Statement of the World Congress on Evangelismであり,宣言というよりは合意文書の形をとっている.<復> この会議には,当時のエチオピアの皇帝ハイレ・セラシエを含めた1200人の代表が百か国以上から参加した.英国教会の主教からペンテコステ派の神癒伝道者まで,世界のほとんどの教派を網羅する多彩な参加者であった.また,これまで宣教師派遣国の代表によるのが普通であったこの種の会議に,宣教師被遣国,すなわちミッションフィールドからの参加が多かったことも特徴である.さらに世界教会協議会(WCC)との直接のかかわりの有無を越え,国内・国外宣教の区別をも越えての包括的な会議となった.1974年のローザンヌ会議の先駆的な役割を担う会議であった.神学者カール・ヘンリが議長を務めた.彼は,この会議が核・宇宙・マスコミに代表される新しい時代のための世界伝道計画づくりの機会を提供する会議であるとしている.ビリー・グラハム(グレイアム)はこの会議の主題講演で,1910年のエディンバラ世界宣教会議の意義から説き起し,エディンバラに見られた宣教の情熱の回復が緊急の必要であると訴えた.前世紀末以来の「この時代における宣教」という訴えに言及し,「私たちは過去の世代について責任を負ってはいない.次の世代については十分に責任をとるというわけにはいかない.しかし私たちには私たちの世代がある」とグラハムは言う.エディンバラ精神の継承の訴えである.ベルリン宣言はこの訴えを受け入れ,その前文を,「私たちのゴールは,この世代での,人類そのものの福音化以下の何ものでもない」と結んでいる.<復> 宣言そのものは,会議のテーマ,One Race, One Gospel, One Task(一つの種族,一つの福音,一つの責務)をそれぞれの主題とする4部から成る.「一つの種族」の項で,それまでの福音宣教が聖書の教える人類の一体性について「十分な明確さと力」をもって語ることができなかったと,その過ちを認めている.さらに「すべての人は神ご自身が創造された人間として一つの存在である.神からの贖いを必要とすることにおいて,イエス・キリストにある救いがすべての人に提供されていることにおいて一つである」と説明する.そして人間であることにおいて人種,皮膚の色,プライド,偏見などから来る相違を否定する.そのことがキリストへの信仰に導かれた者,つまりキリスト者の交わりにおいてはもちろんのこと,世界のどのような地に住む人たちへの福音宣教においても同じでなければならないとしている.会議の背景と合せて考える時,宣言のこの部分は特別の意味を持っているように思われる.第2次世界大戦後,それまでの欧米の植民地に新しい民族国家が続々と誕生した.共産化による中国の教会への大きな打撃も加えて,宣教のあり方が新しく問われていたのである.またこうした激動の地域,アジア,アフリカ,ラテン・アメリカでの,今日のいわゆる第三世界での宣教の進展が当然のことながら,これらの地域の若い教会との新たな協力関係を必要としていた.これに対し西欧の福音派は時代の挑戦に積極的に取り組むまでにはなっていなかった.19世紀以来の,自由主義神学との戦いの中で,その影響の拡大を防ぐだけで精一杯であった.ベルリン会議は,言わば福音信仰の新たな高揚を求めての,時代の挑戦への対応であった.共同の目的を意識しての大きな前進の機会となったことは事実であろう.世界の激動が教会に覚醒を求めたとも言えよう.新しい取組のために福音の意味の明確化が求められる.教会が一致を訴え得る基盤は福音そのものにある.宣言は贖いの福音があくまでも神からのものであり,人間によるものでないことを確認する.福音の保証としてのみことばの権威を強調し,「みことばの権威の下におかれることを拒むすべての神学,批評学を拒否」し,「神のことばに付加することによってその権威を弱めようとする,すべての伝統主義を拒む」としている.<復> ベルリン会議は福音の宣教にかかわる問題をあらゆる角度から再検討,再確認しようとした.福音宣教の緊急性を訴えつつ,かえって細部に至るまでの分析研究に多大の労を費やした.このことがその後の福音主義の進展を可能にする一つの基盤を提供することとなったと思われる.神学的に無責任ではない福音信仰の宣教の前進である.「神学者が神学者であるだけでなく伝道者でもあるように,伝道者も同時に神学者であるように」(カール・ヘンリ)との訴えは,宣教のための健全な良心のあかしである.→ローザンヌ誓約,エキュメニカル運動.<復>〔参考文献〕One Race, One Gospel, One Task, 2Vols., World Wide Publications, 1967.(舟喜 信)
(出典:『新キリスト教辞典』いのちのことば社, 1991)

新キリスト教辞典
1259頁 定価14000円+税
いのちのことば社