《5分で分かる》独身とは?

独身とは?

独身…

人は誰でも初めは独身である.アダムも独身であったが,この状態は長くは続かなかった.神は「人が,ひとりでいるのは良くない」(創世2:18)と言われて,女性を創造された.明らかに,人が結婚することは神の御計画であった.しかし,人は罪を犯し,その罪は全人類に,そして自然にも及んでいる.人は神から身を隠し,大地はいばらとあざみを生えさせた.そして結婚は,すべての人の経験するものではなくなった.人間の罪のゆえに,この世には戦争があり飢饉がある.病気,苦痛,死が罪の結果であるように,独身は当初からの神の御計画ではなかったのである.<復> わが国の婚姻率は1971年の10.5%から毎年確実に下がり,1987年で5.7%に推移している(→本辞典「結婚」の項の図「婚姻件数と婚姻率の推移).「結婚しなくてもよい」と考える女性は,1972年の13.5%から1987年の24.7%に上昇している.初婚年齢も男性28.3歳,女性25.6歳と高齢化している(1986年).<復> 独身者は四つのグループに分けられる.結婚したことのない人,別居している人,離婚した人,そして,配偶者と死別した人,である.近年独身は社会的に,より受け入れられるようになり,その数は増加している.<復> 旧約時代にユダヤ人の男性は結婚しなければならなかった.しかし新約では独身は神の賜物である(マタイ19:12,Ⅰコリント7:7).神の賜物は良いもの(Ⅰコリント7:8)であり,完全なもの(ヤコブ1:17)でさえある.独身を神の賜物として受け入れている人は,きょうのために生きることができる.この場合,独身は「来るべき最上の生活」を待ち望む準備期間ではない.独身を受け入れた人は独身生活を楽しみ,充実したものにすることができる.歴史は偉大な独身者の足跡を記している.フローレンス・ナイティンゲイル,メアリ・スレッサー,エイミ・カーマイケル,アッシジのフランチェスコはその例である.<復> 一方,独身者には次のような固有の問題がある.<復> (1) 孤独.孤独は必ずしも独身者だけの問題ではなく,結婚したのに孤独をかこっている人も少なくない.しかし独身者には,既婚者以上に友人との積極的なかかわりが必要であろう.<復> (2) 自己像の低さ.自分が結婚できないのは自分に魅力がないからだと決めてかかっている人がいる.魅力ある独身者の存在を認め,神の目を通して自分を評価する秘訣を身に付けなければならない.<復> (3) 性の問題.健康な独身者が性欲を満たす場を持たないことは,独身者の抱える大きな問題の一つと言えよう.ジョン・ホワイトは,食物を自分の意志に反して断たれた人と,自らの意志で食物を断った人とを比較しながら,「性の断食」という概念を紹介している(White, J. W., Eros Defiled, IVP, 1979).食に飢えている人は,食物のことを考え,苦痛を経験する.しかし断食している人は,自らの状態を受け入れているので,食物への思いでそれほど苦しむことはない.違いは態度にあり,考え方にある.同様に,性欲を満たす機会をとらえようとしている人にとっては,性欲は支配的な力を持つ.「性の断食」は有効な概念である.<復> (4) 情緒問題.問題が思い通りに解決しない時,人はいら立ち,怒りを抱く傾向がある.結婚したいと思っているのにできないと,神を恨み,人を恨む傾向がある.そしてそのような思いを抱く自分を責め,罪悪感を持つ人もいる.また「拒絶」される恐れ,神の祝福からもれるのではないかという恐れを独身者は特に持ちやすい.<復> (5) その他の問題.特に独身男性は既婚者に比べ,より自分を不幸だと思っているという調査結果が出ている.両親と一緒に住んでいる独身者は,いつまでも子供扱いされる可能性があり,これがストレスとなることも考えられる.周囲からいつまでたっても半人前に扱われ,どこかおかしいのではないかと思われることもあろう.独身でいて社会的に受け入れられることには,まだ困難があり,そこから派生する問題もある.<復> 聖書の中に,生れつき目の見えない人について,誰の罪でこうなったかという論議がある.イエスは本人の罪でも両親の罪でもなく,「神のわざがこの人に現れるためです」(ヨハネ9:3)と答えられた.イエスのこの世に対する勝利は,人の罪の結果を取り去るものではないが,罪に対する確かな勝利である.なぜ独身なのか.それは「神のわざ」が現れるためであり,「神の栄光」が現れるためである.こう理解した時,独身の祝福は大きいものとなる.→結婚,離婚.<復>〔参考文献〕G・カーセン『独身の祝福』いのちのことば社,1985;Clarkson, M., So You’re Single!, Harold Shaw Publishers, 1978.(柿谷正期)
(出典:『新キリスト教辞典』いのちのことば社, 1991)

新キリスト教辞典
1259頁 定価14000円+税
いのちのことば社