《5分で分かる》秘跡(サクラメント)とは?

秘跡(サクラメント)とは?

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秘跡(サクラメント)…

[ラテン語]Sacramentum.ラテン語「サクラメントゥム」は,新約聖書のギリシヤ語「ミュステーリオン」(奥義)の訳語として2世紀以来使われている.第2ヴァチカン公会議以後のローマ・カトリック教会においては,目に見えない神が目に見える神となることによって,見えない救いの恵みが,目に見える姿において確かなものになると教え,この意味で,キリストは「原秘跡」と言われる.また,教会は救いの普遍的秘跡となるように神によってこの世に派遣され,この教会から,七つの秘跡がこの世へと溢れ出ると考える.この意味で,教会は「源泉的秘跡」と呼ばれる.この七つの秘跡—洗礼(バプテスマ),堅信,聖体(聖餐),告解(ゆるしの秘跡),終油または病者のための聖なる塗油(病者の塗油),叙階,婚姻—は,第2リヨン公会議(1274年)において宣言されたものである.<復> 10世紀にカトリック教会は,洗礼と聖体の秘跡に加えて,告解と婚姻を承認し始めた.さらに,堅信,国王の叙任,司祭の叙階,修道士の叙階など,5から12の秘跡が主張され,あまつさえ30の秘跡を主張する者もいた.これに対してペトルス・ロンバルドゥスは,七つの秘跡から成る秘跡論を主張した.この説を受け確固たるものとしたのが,ドミニコ会士トマス・アクィナスの秘跡論(『神学大全』Ⅲ60—90,補遺1—68)である.(その後プロテスタント宗教改革の攻撃に対し,カトリック教会ではトリエント公会議〔1545—63年〕において,七つの秘跡を擁護した.そして,このトマス・アクィナスに代表される,12世紀以後の秘跡論が改めて決議され,教令が発布された).『神学大全』Ⅲ65:1においてトマスは,直接いのちにかかわる事柄としての洗礼,堅信,聖体の三つの秘跡と,肉体的・精神的統一が絶えず脅かされるために必要不可欠な,告解と病者のための聖なる塗油(トマスはこれを「終油」と呼んだ)の二つの秘跡,そして,共同体を指導していくために必要な,叙階と婚姻の二つの準秘跡,計七つの秘跡を挙げている.そして彼は,これら七つに順序付けを行った.この七つの秘跡は,「この中のどの一つが欠けても秘跡は成立しない」(『カトリック教会文書資料集』1312)と考えられている.<復> 第1の秘跡は,洗礼の秘跡([ラテン語]baptisma)である.この秘跡の授与者は司祭である.第2は堅信の秘跡([ラテン語]confirmatio)で,司教が受堅者に対して十字を切り,良心の純白を意味するオリーブ油と善徳の香りを意味するバルサム香を混ぜて作った聖香油を塗油してこの秘跡を行う.堅信の秘跡によって,洗礼後,聖霊が与えられる.第3は聖体の秘跡(聖餐,[ラテン語]eucharistia)である.司祭はキリストの代理として,聖体の秘跡を制定した救い主イエス・キリストのことばを唱えてこの秘跡を行う.第4はゆるしの秘跡(告解の秘跡,[ラテン語]paenitentia)である.悔い改め,罪の告白,罪の償いの宣告,という順でなされる,罪の赦しについての裁判行為である.この秘跡の授与者は司祭である.このために聴罪司祭という役職が制定され,専門職となった.第5は病者の塗油の秘跡([ラテン語]unctio infirmorum.かつては終油の秘跡〔[ラテン語]extrema unctio〕と言った)である.これは,主のみわざに基づく(マルコ6:13)秘跡であり,主の兄弟ヤコブの教えとして(ヤコブ5:14,15)執行される.第6は叙階の秘跡([ラテン語]ordo)である.司祭職は,司教によるぶどう酒の入った杯とパンをのせた皿の授与によって,助祭職は空の杯と空の皿の授与によって,他の聖職者階級はそれぞれの職務に付属する品物の授与によって授けられる.第7の秘跡は婚姻の秘跡([ラテン語]matrimonium)である.これによって,キリストと教会との分離不可能な一致の印を表す.<復> カトリック教会では,洗礼,堅信,叙階の三つは,秘跡授与の時,聖霊の印がこれを受ける者に刻み付けられるので,繰り返し授けることはできないと言う.その他は,繰り返し授けられる.宗教改革によってプロテスタント教会は,サクラメントを洗礼と聖餐に限定し,普通,「礼典」と呼んでいる.→堅信礼,叙階,告解,礼典.<復>〔参考文献〕H・デンツィンガー編,A・シェーンメッツァー増補改訂『カトリック教会文書資料集』エンデルレ書店,改訂3版1988;Ganoczy, A., Einfu¨hrung in die katholische Sakramentenlehre (2Aufl.), Wissenschaftliche, 1984 ; Wenz, G., Einfu¨hrung in die evangeliche, Wissenschaftliche, 1988.(太田良一)
(出典:『新キリスト教辞典』いのちのことば社, 1991)

新キリスト教辞典
1259頁 定価14000円+税
いのちのことば社