《5分で分かる》選民とは?

選民とは?

選民…

聖書は,ある者たちが世界の基の置かれる前からキリストのうちに選ばれ,永遠のいのちに予定されていることを教えている.この選ばれた者たちは,特定的,個別的に選ばれているが,しかしばらばらの個人としてではなく,選ばれた者は選びの民として選ばれていると教えている.<復> ハイデルベルク信仰問答は,使徒信条の「我は聖なる公同の教会を信ず」について,問54の答で「神の御子が,全人類の中から,永遠の生命へと選ばれし群を,その御霊と御言とによって,真の信仰の一致において,世の始から終りに至るまで,集め,守り,保ち給うということを信ずる.また私がこの群の活ける肢であり,いつまでも肢として留るであろうということを信ずる」と教えている.カルヴァンのジュネーブ信仰問答も,公同の教会は,神が永遠のいのちに定め,選ばれた信仰者の群れである(問93,96,100)と教えている.またカルヴァンの『信仰の手引き』(pp.57—8)や初版の『キリスト教綱要』においても(pp.103—111)公同教会は選民の集いであるということが力強く教えられている.教会のかしらであるキリストとその体である教会とキリストの体の肢である個々の選ばれた信仰者とは神の永遠の救いの御計画の中において,一つに結び付いている.このような聖書の教えをウェストミンスター信仰告白は次のように教えている.「神はその永遠のご計画で,ご自身のひとり子主イエスを,神と人との間の仲保者,預言者,祭司,王,神の教会のかしらまた救い主,万物の世嗣,世界の審判者に選びまた任ずることをよしとされた.彼に対して,神は永遠の昔から,ひとつの国民を彼のすえとして与え,彼により,時至ってあがなわれ,召命され,義とされ,聖とされ,栄光化されるようにされた」(8:1).「公同または普遍の教会は,見えない教会であり,そのかしらなるキリストのもとに,過去・現在・未来を通じてひとつに集められる選民の全員から成る.それは,すべてのものをすべてのもののうちに満たしているかたの配偶者,からだ,また満ちみちているものである」(25:1).「同じ神の救いの御計画において,神の栄光が現われるために,永遠の生命に予定されている者たちは,個別的また不変的に指定されており,またその数もきわめて確実で限定されているので,増し加えることも,減らされることもできない」(3:3,4).<復> 選びは救いの恩恵性と確かさとを教えるが,それとともに聖書は,それは奉仕に至らせるものであることを教える(Ⅰペテロ2:9,エペソ1:4‐6,2:10,Ⅰコリント6:20,テトス2:14).<復> 永遠のいのちへと予定された者は,キリストの体,その肢として選ばれ,個々の選ばれた者は同時に選民として選ばれたのであるが,神の民として選ばれたイスラエル(申命7:6,7,14:2)についてはどうであろうか.選民イスラエルの大部分は約束の救い主イエス・キリストが来られた時,これを不信仰をもって拒絶した(ローマ9‐11章,マタイ8:11,12,21:43,44).選民イスラエルは捨てられ,異邦人クリスチャンに取って代られたのであろうか.イスラエルは全面的に神に退けられ(ローマ11:1),最後的に,決定的に彼らは倒れてしまったのであろうか(同11:11).パウロは,イスラエルは全面的に,全体的に神に退けられたのではない(同11:1‐6)と言う.また,そのつまずいたのは回復不可能なほど最終的であるのではないと言う.「イスラエル人の一部がかたくなになったのは異邦人の完成のなる時までである」(同11:25)と言い,「こうして,イスラエルはみな救われる」(同11:26)と奥義を語る.この場合もちろんイスラエル一人一人がみな救われるという意味ではなく,選民イスラエル,契約の民イスラエルが民として救われるという意味である.パウロは選民イスラエルについて「彼らは,福音によれば,あなたがたのゆえに,神に敵対している者ですが,選びによれば,先祖たちのゆえに,愛されている者なのです.神の賜物と召命とは変わることがありません」(同11:28,29)と言う.こうして神の不思議な摂理を通し,選民イスラエルの不信仰によって救いは異邦人に及び,異邦人の完成の成る時イスラエルはみな救われる.「彼らの失敗が異邦人の富となるのなら,彼らの完成は,それ以上の,どんなにかすばらしいものを,もたらすことでしょう」(同11:12).その時人類と世界全体の救いが完成するのである(同11:30‐32).→選び,神の民,イスラエル,教会・教会論.<復>〔参考文献〕カルヴァン『キリスト教綱要』(初版)教文館,1986;カルヴァン『信仰の手引』新教新書,1956;Jewett, P. K., Election & Predestination, Eerdmans, 1985.(矢内昭二)
(出典:『新キリスト教辞典』いのちのことば社, 1991)

新キリスト教辞典
1259頁 定価14000円+税
いのちのことば社