《5分で分かる》食糧問題とは?

食糧問題とは?

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食糧問題…

「私たちの日ごとの糧をきょうもお与えください」(マタイ6:11).「主の祈り」のこの一節は,地球家族の一人一人に毎日必要な食糧を与えて下さるお方への信頼を表している.現在世界で生産されている食糧は,もし平等に分配されるならば,世界の総人口50億のすべてに毎日3千カロリーを供給することができる量である(1日必要カロリーは平均2300—2600カロリー).ところが,現実には年間1500万人が餓死している.世界人口の4分の1を占める先進国では「飽食」があるのに,4分の3を占める発展途上国では「貧困」と「飢餓」とが広がっているのである.どこに問題があるのか?食糧問題の未来はどうなるのか.そしてキリスト者は食糧問題をどのように考えるべきなのか?<復> 1.「飽食と飢餓」の構造.<復> 日本は食糧の輸入大国である.工業製品を高い価格で輸出し,資源や食糧を安価で輸入するという貿易構造が日本経済を支えてきた.食糧の商品化が一段と進む中で,世界中の食糧が日本に流入している.先進国のアグリビジネス(農業関連産業)は,その巨大な経済力を背景に発展途上国の農地を支配し,換金作物と呼ばれる先進国向けの輸出用食糧を生産させている.そのため発展途上国では自国の農地が自国の食糧生産のために用いられず,農民は土地を追われてきた.全人口の40—90%が農民である国々の苦しみは大変なものである(例えば,モーリシャスは輸出総額の98%が砂糖,ブルンジは83%がコーヒー豆,ガーナは74%がココアなど).しかも利益のほとんどは直接生産者の手に入らない構造ができ上がっている.発展途上国の人々はどんなに一生懸命働いても,貧困と飢餓から脱却できないのである.日本の飽食を支える発展途上国の貧困と飢餓の姿が見えてくる.<復> 2.食糧の未来.<復> 食糧を取り巻く環境は悪化の一途をたどっている.(1)量の面からの悪化—(a)農地の荒廃(土壌侵食,塩類集積,アルカリ化,不透水化,土壌硬化などによる),(b)大気汚染(酸性雨,森林伐採による水供給の変化などによる),(c)病虫害.(2)質の面からの悪化—(a)農薬・添加物による汚染,(b)栄養の過剰または過少摂取による不健康等々,国単位のみならず地球規模で対策を練らなければならない多くの課題が山積みされている.<復> 3.キリスト者と食糧問題<復> 「あなたがたは夕暮れには肉を食べ,朝にはパンで満ち足りるであろう.あなたがたはわたしがあなたがたの神,主であることを知るようになる」(出エジプト16:12).「見よ.わたしは,戸の外に立ってたたく.だれでも,わたしの声を聞いて戸をあけるなら,わたしは,彼のところにはいって,彼とともに食事をし,彼もわたしとともに食事をする」(黙示録3:20).この2つの聖句は,食物を神との関係・交わりということと密接につなげている.神のみことば(霊の糧)を摂取することと,肉の糧とを切り離しては考えられないのである.私たちが生きていくために必要なものすべてを与えて下さる「アドナイ・イルエ」(創世22:14.「主は見ておられ,すべての必要を満たして下さる」の意)の神への全面的信頼と依存とを学ぶことは不可欠である.では,自らの必要が満たされたならそれで感謝すれば十分なのか.否である.発展途上国の人々を飢えさせ犠牲にすることによって自分の腹を満たしている場合はなおさらである.黙示録3:20にあるように,キリストに対して心を開きキリストとともに食するようにされた者は,悔い改めて,食い改めなければならない.飢えた人々とともに食することは,「まことに,あなたがたに告げます.あなたがたが,これらのわたしの兄弟たち,しかも最も小さい者たちのひとりにしたのは,わたしにしたのです」(マタイ25:40)と語っておられるキリストとともに食するということにほかならないのである.→キリスト者の社会的責任,社会倫理,シンプル・ライフスタイル.<復>〔参考文献〕『難民問題と伝道』『シンプル・ライフ・スタイルへのすすめ』『伝道と社会的責任』(誰もが知りたいローザンヌ宣教シリーズNo.5,20,21)関西ミッション・リサーチ・センター,日本福音同盟(1986,1985,1984);犬養道子『人間の大地』『渇く大地』中央公論社(1983,1989);『食糧』『飢餓と難民』(岩波ブックレットNo.27,112)岩波書店(1983,1988);F・M・ラッペ/J・コリンズ『世界飢餓の構造』三一書房,1988.(神田英輔)
(出典:『新キリスト教辞典』いのちのことば社, 1991)

新キリスト教辞典
1259頁 定価14000円+税
いのちのことば社