《5分で分かる》歴史神学とは?

歴史神学とは?

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歴史神学…

[英語]Historical Theology,[ドイツ語]Historische Theologie.聖書神学,組織神学,弁証神学,実践神学に並ぶ神学の一部門.歴史神学は,神の人間に対する超自然的啓示と,歴史における教会が実際に信じて行動した信仰の足跡を,歴史学的方法によって考究する神学の部門である.この神学は,キリスト教自体が歴史的性格を持つゆえに必然的に成立する.<復> 神学とは神知識である.神のことばの体系的把握である.それゆえ,神学は必然的に信条を構成するので,それは信条神学となる.諸信条は神学の直接的な資料である.さらに,諸信条の上に立つ規範がある.それは神のことばとしての聖書である.聖書のみを権威とし,その規範の下に神学が形成される.聖書は神御自身のことばであるから,聖書を規範とする神学は当然,神中心の神学である.<復> キリスト教では聖書を通して,神による宇宙と人間との創造,摂理,人間の堕罪,十字架,復活,再臨,宇宙の終末という壮大な神の歴史支配を信じている.この創造から終末に至る直線的な時の流れの中心はイエス・キリストである.われわれはキリストの十字架,復活,昇天という歴史の中心点と,終末の間に生きている.今や,歴史の全体は新天新地の到来というゴールに向かって流れている.こういうわけで,神のキリストによる救済の歴史があらゆる領域の歴史の鍵であり,中心である.<復> キリスト教会は今日に至るまで歴史を持っている.キリストにあって神のことばが教会に現臨し働くのであるから,教会は神の臨在と働きの歴史を持つ.神が教会の歴史の中において働きたまい,神が教会の歴史の主であられ,教会の歩みを支配しておられる.神のことばがどのように受容,あるいは拒否されたかを歴史の中に正しく認識しようとするところに,教会の歴史の研究が要求されるのである.<復> 教会の歴史は使徒時代に始まるが,教会と世界との出会いがより十分な意味で重要になるのは,使徒時代の後期からである.その時から,キリスト教はギリシヤ哲学に触れ,それがキリスト教の教義形成の「養育係」になった.そのあたりのプロセスを教理史によって研究することができる.<復> 現在の教会の情況は教会の歴史の展開として理解されなければならない.教会の現状が過去によって決定されている事実は否定できない.現在の教会は新約聖書の時代の教会のままではない.2千年の伝統と宣教された地域の文化によって媒介されているから,この伝統を避けて通るわけにはいかない.<復> 教会の歴史を見ると,時代により,また場所により,文化によって,キリスト教が様々に異なる形態を取ってきたことを示している.その異なった形態は果して発展なのか,退歩なのか,どこまでが統一で,どこまでが分裂か,教会は幾つもの教派に分れていて,なお一つの教会と言えるだろうか.これらは教会の信仰告白の同一性の問題が問われることになる大問題である.<復> これらの諸問題は教会史,教理史のような学問を通してより正確に考究されるのであり,歴史神学が成立する根拠となるのである.<復> 歴史神学は歴史でもなく,神学の歴史でもない.それは各時代の教会が歴史の中でどのように神を認識し,そして実際の教会生活の中でどのように具体化したかを研究する学問である.<復> 文化,伝統,人種の異なるもろもろの時代の教会が歴史の中で神を認識してきたその認識の多様性を,原因から結果へと考究する歴史学的方法を用いて研究する学問であるから,歴史神学は成立するのである.<復> 歴史神学に属する諸学科には,教会史,教理史,信条史,伝道史,教父学,教会政治史,礼拝史,キリスト教美術史,教会音楽史など教会活動の全領域に関する歴史が含まれる.→教会史,キリスト者の歴史観,世界の教会と神学,日本の教会史,日本の宣教史,神学諸科解題.<復>〔参考文献〕『信仰・歴史・実践』(有賀鐵太郎著作集5)創文社,1981;矢内昭二編『改革派教会の神学的戦い』小峯書店,1972 ; Cunningham, W., Historical Theology, Vol.1, Banner of Truth, 1960 ; Hoekema, A. A., The Bible and The Future, Eerdmans, 1979 ; Bromiley, G., Historical Theology : An Introduction, Eerdmans, 1978.(泥谷逸郎)
(出典:『新キリスト教辞典』いのちのことば社, 1991)

新キリスト教辞典
1259頁 定価14000円+税
いのちのことば社