《3分で分かる》良心とは?

良心とは?

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良心…

[英語]conscience.自分自身の行為における特定の善悪に対する,知情意を含めた全人格的な判断作用.先行的良心と反省的良心とがある.先行的良心は,行為に先行して悪を思いとどまらせ,善を促進する.反省的良心は,行為の後で悪を非とし,善を是認する.良心作用,特に悪しき行為を責めさいなむ良心は人類に普遍的に存在する現象であるが,良心作用の本質については,昔から現在に至るまで,様々の解釈が見出される.<復> 旧約聖書には良心を意味するヘブル語はないが,反省的良心についての言及がなされている(Ⅰサムエル24:5,Ⅱサムエル24:10,詩篇32:1‐5).新約聖書では,良心ということばは,特にパウロによって使用されている.パウロにおいても,行為に対する反省的判断作用としての良心に対する言及が多い.<復> 聖書によれば,良心の存在は,人間が神によって定められた倫理的規範に服従すべき道徳的責任を負っているという事実から説明することができる.神から離反している人間も,神に応答するように定められた本性を自分で廃棄することはできないという事実が,信仰を持たない人間にも良心が存在する理由である.<復> 良心は,現実の自分と本来あるべき自分との間の分裂や矛盾を前提している.その意味では現実の良心作用はアダムの堕罪とともに生じたと解することもできる.しかしキリストの贖いのわざによって聖化された信仰者の内に善き良心が形造られていくのであれば,良心それ自身は堕落によっても失われなかった人間の善き本性の一部分と解することもできる.ある人々が主張するように,良心は神のかたちに従って造られた人間の不可欠の構成要素である.現実の良心作用が罪に由来することと,良心それ自身は神の賜物,神によって造られた人間に生得的な道徳的機能であるということは矛盾するものではない.<復> 近代になってキリスト教倫理を支えてきた人間観が否定されるに及んで,良心についての自然主義的説明がなされるようになった.18世紀以後の良心起源論は,良心の生得的能力を否定し,良心を外部から人間の心に刻印されたものと見なした.この良心論は,行為を何か他のことのためではなく,それ自身のゆえに非難し是認するという良心作用の本質を説明できない致命的な欠陥を持っている.このような理論が成立するのは,人によって良心作用に極端な相違が認められるという現実が存在するからである.聖書も,誤れる良心,腐敗している良心,死せる良心について語っている(エペソ4:19,Ⅰテモテ4:1‐5,テトス1:15).良心も罪の影響を受けており,行為に対する無謬(むびゅう)の指針ではない.信仰者の良心もその例外ではない(ローマ14:1‐12,Ⅰコリント8章).信仰者には自分の良心をきよめ,ますます鋭敏なものとする責任が与えられている(Ⅱコリント1:12,ヘブル5:14,9:9,14,10:2,22).<復> あらゆる行為が自分の信仰的確信に基づくものでなければならないという意味で,信仰者はいかなる場合にも自分の良心に従わなければならない.しかし良心は行為の選択における唯一のよりどころではない.信仰者は聖霊の支配のうちに,神の愛に満たされて,神の個別的な意志に服従すべき道徳的責務に対する誠実さを,自分の良心に服従することによって確証するのである.→理性と信仰,人間論,神のかたち,キリスト教倫理.(多井一雄)
(出典:『新キリスト教辞典』いのちのことば社, 1991)

新キリスト教辞典
1259頁 定価14000円+税
いのちのことば社