《3分で分かる》あわれみとは?

あわれみとは?

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あわれみ…

あわれみは神の永遠かつ必然的な属性で,苦悩や困窮のうちにある者たちに向かって示される神の慈愛である.聖書では,同情,忍耐,愛,情けといったことばが,実際には同じことを表すのに用いられている.<復> 旧約聖書におけるあわれみの基本的な語は,ヘブル語のラハミームであるが,この語は「胎」を意味する[ヘブル語]レヘムから派生したと言われている.そのことから,自分の胎から出た子供に対する母親の切々たる情愛や,同じ胎から出た兄弟間における近親的情愛を表現するものと言われている(詩篇103:13,イザヤ49:15,エレミヤ31:20).<復> 一方,神のイスラエルの民に対するあわれみは,特にその選びと契約,さらにその契約の保持において顕著に表されている.例えば,Ⅱ列王13:23では,「主は,アブラハム,イサク,ヤコブとの契約のために,彼らを恵み,あわれみ,顧みて,彼らを滅ぼし尽くすことは望まず,今日まで彼らから御顔をそむけられなかった」と記されている.ハバククもこの神のあわれみにすがり,「激しい怒りのうちにも,あわれみを忘れないでください」(ハバクク3:2)と神に肉薄する祈りをささげている.<復> 同時に,神のあわれみは,神の正義と公義に基づくことも忘れてはならない(ホセア2:19).それゆえ,神の「痛み」あるいは「わななき」は,神のあわれみと正義とから発出している(エレミヤ31:20).やがて,この神の「わななき」は,新約時代に至って,イエス・キリストの十字架において明らかに啓示されるのである.<復> 新約聖書では,神のあわれみを表すのに[ギリシャ語]エレオスが用いられている.この語は,イエスの良きサマリヤ人のたとえ話に登場する傷ついた旅人のような全く助けのない絶望状態にある者に対する同情の思いを意味している.イエスはこの説話の中で,「エレオス(あわれみ)をかけてやる」行為がどんなものであるかを具体的に教えておられる(ルカ10:30‐37).同様に使徒たちも,対人関係におけるあわれみの行為を,その教えの中心とした(ヤコブ2:15,16,Ⅰヨハネ3:17).<復> 旧約におけるイスラエルの民の選びと契約における神のあわれみの概念は,新約における新しき神の民においてもそのまま受け継がれている.パウロは自らを「あわれみの器」(ローマ9:23,24)と言い,「私たちは,あわれみを受けてこの務めに任じられている」(Ⅱコリント4:1)との自覚に立っている.同様にペテロも,「あなたがたは,以前は神の民ではなかったのに,今は神の民であり,以前はあわれみを受けない者であったのに,今はあわれみを受けた者です」(Ⅰペテロ2:10)と,あわれみの存在である新しき神の民について強調している.<復> 神のあわれみは,罪ある人間に対する救いの行為の源泉である.例えば,イエスの説話中,放蕩息子の父親を動かしたもの,また良きサマリヤ人を動かしたものは,いずれもあわれみであった(ルカ15:20,10:33).エペソ2:4,5やテトス3:5,6には,罪人の救いにおける神のあわれみの行為が言い尽されている.→愛,慈愛,恵み,神の属性.<復>〔参考文献〕H・シーセン『組織神学』聖書図書刊行会,1961;Evangelical Dictionary of Theology, Baker, 1984.(工藤弘雄)
(出典:『新キリスト教辞典』いのちのことば社, 1991)

新キリスト教辞典
1259頁 定価14000円+税
いのちのことば社