《3分で分かる》使徒伝承とは?

使徒伝承とは?

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使徒伝承…

主イエス・キリストの権威に基づき,口頭または文書の形で,使徒たちにより原初のキリスト教会に伝えられ,受け継がれていった事柄を使徒伝承と言う.伝達の過程及び内容の両面で,キリストから権威を授けられた使徒たちに帰せられる,という意味で,使徒伝承と呼ばれる.<復> 使徒伝承は,パウロによれば,「私たちのことば,または手紙によって教えられた言い伝え」と表現される(Ⅱテサロニケ2:15).「言い伝え」を指す[ギリシャ語]paradosisの動詞形はparadido~miで,これは「受ける」を意味する動詞paralambano~と対応の関係にある.パウロが,自分の「受けた」ことを「伝えた」と明白に言う通りである(Ⅰコリント15:3).キリストから出たものであり,キリストに基づくものであるがゆえに,使徒伝承は,「伝えられた教えの規準」と呼ばれる(ローマ6:17).「規準」は「型」を意味する語で,キリスト教会の中で一定の形式をとるに至っていた信仰告白,賛歌,生活の指針などを含んでいた.<復> 使徒伝承は,伝えられるだけでなく,ゆだねられるものでもあった(Ⅰテモテ6:20;Ⅱテモテ1:14).「委託する」を指す動詞[ギリシャ語]paratithe~miと,「委託物」を指す名詞parathe~ke~は,伝承の過程と内容の両面における主キリストの確たる権威を描き出している.ゆだねられたものは,しっかりと守られねばならなかった(Ⅱテモテ1:12欄外注,14).パウロ→テモテ→忠実な人たち→他の人々という線に沿って,健全なことばがゆだねられ,守られていく全過程には(Ⅱテモテ2:2),生けるキリストの働きがあった.伝承は,復活の主が聖霊を通し,御自身の啓示を与える一つの道であった.伝承を口頭のものに閉じ込め,文書化されて新約聖書正典となったものと対比の関係にある,と見るのは正しくない.伝承は,ことばによると文書によるとを問わず,永遠に生きるキリストが使徒時代を通して保ち,確実なものとされた,新契約期の新しい「伝統」そのものであった.<復> 使徒伝承の内容は,第1にキリスト教使信の要約である.特に,キリストの死と葬り・復活と顕現を強調するもので(Ⅰコリント15:3‐8),この福音への応答としての信仰告白は,パウロによれば次の通りである—「主イエスは,私たちの罪のために死に渡され,私たちが義と認められるために,よみがえられた」(ローマ4:25).第2には,キリストのわざとことばである.結婚の関係についての教え(Ⅰコリント7:10,11),福音宣教者の生活の支えについての教え(同9:14),主の晩餐の制定のことば(同11:23以下)などが「主の」命令あるいは定めとして言われ,主キリストに究極の権威が帰せられている.第3には,キリスト者の行動にかかわる倫理の規準である.使徒たちから受けた「言い伝え」に従って生きることが勧められ,「人の言い伝え」によることが排除されている(例コロサイ2:8).→使徒性,聖書と伝承,信仰の告白.<復>〔参考文献〕Bruce, F. F., Tradition : Old and New, Paternoster, 1970.(石丸 新)
(出典:『新キリスト教辞典』いのちのことば社, 1991)

新キリスト教辞典
1259頁 定価14000円+税
いのちのことば社