《3分で分かる》捕われの霊とは?

捕われの霊とは?

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捕われの霊…

キリストの贖罪のわざの宇宙的性格が叙述されているⅠペテロ3:18‐22の中で言及されている句(3:19).この句が誰を指すかを巡って,異論が多く,様々な解釈があって,聖書中最も難解な句の一つと見なされている.以下にそのおもな説を挙げる.<復> 1.堕落天使説.<復> この説は,文脈において言及されている,ノアの洪水前の「従わなかった霊たち」(Ⅰペテロ3:20),「もろもろの権威と権力」(3:22),また創世6:2の「神の子ら」と関連付けて,「捕われの霊」を,人間の霊ではなく,堕落した天使ととる.また,その論拠となるのは,キリストは復活以前ではなく,以後に,悪の霊のところに行った,つまり,下ったのではなく,天に上って(Ⅰペテロ3:19の「行って」と3:22の「上り」は,原文では同じ語),もろもろの悪霊に対して,十字架の死と復活による勝利を宣言した,という点である.さらに,サタンは悪霊(ルカ10:20)とも呼ばれ,「捕われる」(監禁状態)という語は,死者の状態に当てはめるのは不自然で,堕落した天使(Ⅱペテロ2:4,ユダ6節)に適合する点が,この説の論拠とされている.<復> 2.キリストの霊によるノアの宣教に対して不従順だった人々の霊という説.<復> この説は,ノアが受肉以前のキリストの霊—「その霊において」(Ⅰペテロ3:19)—によって,同時代の人々に対して,洪水による人類の滅亡を警告したが,彼らは不従順だったため(Ⅱペテロ2:5),死後その霊がシェオルに捕えられて,最後の審判を待っている,と解する.この解釈は,古くはアウグスティーヌスが唱えたもので,ノア時代の「従わなかった霊たち」)(Ⅰペテロ3:20),「義を宣べ伝えたノア」(Ⅱペテロ2:5),洪水の記事の序文(創世6:1‐12),ノアが世の罪を定めたこと(ヘブル11:7)が,その論拠となっている.<復> 3.ノアの宣教に対して不従順だった人々の霊という説.<復> ノアの宣教に対して不従順だった人々が,死後その霊においてシェオルに捕われていたと見る.この場合,(1)キリストの宣教は,悔い改めと救いの機会を与えるためであったととる立場と,(2)キリストはこれらの不従順な人々に,福音を宣べ伝えたのではなく,贖罪のわざによる救いの勝利を宣言された,という見方とがある.<復> 上述の説のうち,3.(1)は,聖書には,死後救いの機会が与えられているという教えは全くないので,この立場は,聖書の教理と明らかに矛盾するため受け入れられない.1.,2.,3.(2)については,どれが正しい解釈であるか決めるのは極めて難しい.だが,3.(2)は,前後の文脈,すなわち「霊において」(Ⅰペテロ3:18)と「その霊において」(3:19),また「捕われの霊」(3:19)と「従わなかった霊たち」(3:20)とが調和するので,妥当な解釈と思われる.→死後の状態.(樋口信平)
(出典:『新キリスト教辞典』いのちのことば社, 1991)

新キリスト教辞典
1259頁 定価14000円+税
いのちのことば社