《3分で分かる》霊魂の起源とは?

霊魂の起源とは?

霊魂の起源…

アダム以来の人間の霊魂の起源に関する問題は長く神学者の間で意見の一致が見られなかった.それは主として霊魂を肉体とは別の存在と見る人間論の相違によるものである.この問題に関して初代教父以来三つの説がある.<復> 1.先在説(Theory of Pre‐existence).<復> この説はプラトーンの影響によるもので,人間の霊魂は個人の肉体に入る以前により高次元の存在としてあったが,これは神的物質からの発生と考えられていた.この説の代表はオーリゲネースであるが,5,6世紀に異端として退けられた.<復> 2.伝達説(Traducianism).<復> 霊魂は肉体と同様両親から生殖の過程を経て伝達されるとする説.テルトゥリアーヌスがこの説を信奉したが,彼はストア派の影響により,霊魂は物質であると信じた.伝達説は「アダムにある」原罪の連帯性と最もよく適合し,それゆえルター派の教理となっている.<復> 3.創造説(Creationism).<復> この立場は最も広範な支持を得てきたものであり,神は一人一人の人間の霊魂を「無から」(ex nihilo)創造されるとする(神は人間にいつ霊魂を植え付けられるのか,受胎の時か,あるいは後の妊娠期間中のある時期か,という問題が出てくるが).創造説はローマ・カトリックの公式教理であり,改革派神学者たちも一般的にこの説を好む傾向にある.この立場は肉体と霊魂(不滅,非物質,不可分の存在として)の区別性を容易にし,キリストが罪なき人間の霊魂を保有されたことがよく説明できる.この説の聖書的根拠となる箇所は創世2:7,伝道者12:7,ゼカリヤ12:1,ヘブル12:9等である.<復> これらの説のうちどれをとるかは,原罪とその人間の本性に対する影響の理解によって異なってくる.改革派とルター派の見解の相違も神のかたちに創造された人間の堕落性の理解の違いにかかっている.<復> 現代においては聖書神学の発展により二分説,三分説人間論が不人気となった結果,伝達説が好まれそうに見えるが,実際はすべての見解と相対立する傾向にある.「霊魂(たましい)」は人間の本質の部分ではなく,「肉」「霊」とともにその全体性を意味するものである.霊魂の異なった,または分離起源の思想はなじまないのである.人間がその全存在を両親に負っているとするなら,これは聖書信仰と矛盾する.人間の全存在は霊魂も肉体もすばらしい神の創造なのである(ヨブ10:8‐12,詩篇33:4,139:13‐16等).→人間論.<復>〔参考文献〕Berkouwer, G. C., Man : Image of God, Eerdmans, 1978 ; Ferguson, S. B./ Wright, D. F. (eds.), New Dictionary of Theology, IVP, 1988.(山口勝政)
(出典:『新キリスト教辞典』いのちのことば社, 1991)

新キリスト教辞典
1259頁 定価14000円+税
いのちのことば社