《3分で分かる》パウロとは?

パウロとは?

パウロ…

[ギリシャ語]Paulos.キリキヤのタルソ出身のユダヤ人.ヘブル名はサウロ.少年期からパリサイ派の厳格な教育を受け(使徒22:3),またローマ市民権を持ちヘレニズム文化にも通じギリシヤ語も話した.背が低く見栄えがしなかったと言われるが,彼の学識,知性は群を抜いていた.<復> 使徒となる前のパウロは,十字架で死んだイエスをメシヤと信じるキリスト教徒は神を冒涜していると考え,教会撲滅を使命とし信者を容赦なく投獄した.彼は教会史上最初の殉教者ステパノの殺害に関係した(使徒7:58).しかしダマスコ途上での劇的回心(同9章)以来,彼はキリストの使徒となり,殉教までの約34年間,世俗哲学,異教,皇帝崇拝に満ちたローマ世界に3回の伝道旅行を実行し,福音を伝え教会を設立した.<復> パウロの第1回伝道旅行は本格的異邦人伝道の幕開けとなり(使徒13,14章),福音はキプロスと南ガラテヤ地方に伝えられた.第2回伝道旅行(同15:40‐18:22)によって福音は初めてアジヤからヨーロッパへ渡り,ギリシヤ地方に伝えられた.第3回伝道旅行では(同18:23‐21:17),小アジヤと以前伝道した地方を再訪して教会を強めた.エルサレム帰還中,彼はユダヤ人の訴えによって逮捕され裁判のためにローマへ護送された.ローマでの2年間の軟禁中も彼は福音を伝えた(同28章).釈放後,彼は再び各地を巡回伝道し,一説にはスペインまで足を伸した.しかし再逮捕され,ネロ皇帝統治下のローマで67年頃打ち首によって殉教したと言われる.彼はキリスト教宣教史上,誰よりも大きな足跡を残した.<復> 彼は福音の全体を説いて,教会の信仰をユダヤ教的,異教的思想から守り,健全な教理の上に建て上げることにも力を注いだ.彼の13の手紙(「ローマ人への手紙」から「ピレモンへの手紙」)は各地の信者にキリストにある生き方を教え,福音の正しい理解と励ましを与えるものであった.<復> パウロ神学の中心的特徴は,ユダヤ的背景を持ちながらも,受肉した神の子キリストの贖いに焦点を当てていることである.神の愛はキリストの贖いのみわざの中に具体的に現された.人間はアダムの子孫として律法の要求を満たすことができず罪に定められているが,受肉したキリストは律法の要求を満たし,人間の身代りとして十字架に死に律法ののろいのもとにある人間を贖い出された.人はこのキリストを信じる信仰によって義と認められる.義と認められたものはキリストのからだである教会に属し,御霊によってキリストとの交わりの内に生活し,来るべきキリスト来臨の時の救いの完成を待ち望むのである.このように彼の神学は「キリストにあって」行動し,生きることに現れていた.(→図「パウロの生涯の略年譜」).(井之上薫)
(出典:『新キリスト教辞典』いのちのことば社, 1991)

新キリスト教辞典
1259頁 定価14000円+税
いのちのことば社