《3分で分かる》薬物問題とは?

薬物問題とは?

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薬物問題…

薬物問題の中心的なものは,薬物の使用によって薬物依存の状態に陥ることである.薬物依存とは,薬物の使用によって,その薬物を継続して使用したいという欲求に駆られる状態を言う.その症状には精神的依存と身体的依存とがある.精神的依存とは,薬物の反復使用の結果,その薬物の使用をやめられなくなる心理状態になることである.大麻,覚醒剤,LSD,コカインなどの使用による.身体的依存とは,身体的欲求で,薬物を中断した時に,いわゆる禁断症状を呈するものである.麻薬,アルコール,眠剤などの使用による.また継続的な使用により,その薬物の使用量が増えることを耐性と言う.<復> 薬物は元来は鎮痛効果をもたらすものであった.聖書の中では,良きサマリヤ人のたとえの中で用いられているぶどう酒(ルカ10:34),イエスが十字架につけられる前と十字架上で苦しんでおられる時に差し出された「酸いぶどう酒」(マタイ27:34,48)などがある.また創世30:14,15にある「恋なすび」(学名Mandragora officinarum L.)は,アルカロイド系の非常に強い毒性を持った植物である.しかしこれは用法によっては薬草として,また性欲増進剤のような薬物として用いられた.ヤコブの妻たちはこの薬草を奪い合ったが,夫の性欲を呼び起すために用いたものと思われる.このように痛みをやわらげるため,精神的な高揚のために,特に宗教的な恍惚感,神秘的な体験を求めるために,人間は早くから様々な薬草を用いてきた.そしてそこから薬物は医療に用いられるようになったが,労働のための興奮・刺激剤としても使用されるようになり,やがてそれが単なる気晴らしの嗜好品となって,社会病理現象を生むに至ったのである.<復> 日本でも最近は薬物依存者が増える傾向にある.第2次世界大戦後の社会の混乱と虚無感を背景として,覚醒剤(メタアンフェタミン)が大流行したことがあったが,現在は覚醒剤や大麻だけでなく,ヘロイン,コカイン,LSD,有機溶剤(シンナー)やせきどめ風邪薬などを含めて,第2次流行と言われて大きな問題となっている.現在日本では薬物依存者だけを対象とした公的な援助・更生の施設などは全くない状態である.また,彼らは暴力団や犯罪などと関係のある場合が多いので,社会的には排除される傾向にある.しかし現代社会のストレスがますます激しくなる中で,薬物に逃避する者が増える傾向にある現在,この問題に対しても,キリスト教会の積極的な発言・援助等が考えられなければならないであろう.<復>〔参考文献〕「薬物依存」(「こころの科学」No.24所収)日本評論社,1989.(荒井隆志)
(出典:『新キリスト教辞典』いのちのことば社, 1991)

新キリスト教辞典
1259頁 定価14000円+税
いのちのことば社