《3分で分かる》ブルンナー,エーミール・ハインリヒとは?

ブルンナー,エーミール・ハインリヒとは?

スポンサーリンク

ブルンナー,エーミール・ハインリヒ…

[ドイツ語]Brunner, Emil Heinrich.1889—1966年.スイスの神学者.危機神学,弁証法神学の代表者の一人.チューリヒ近郊のヴィンタートゥール生れ.チューリヒ大学の組織神学と実践神学教授(1924—53年).来日して国際基督教大学教授を務めたこともある(1953—55年).初期の著作『神秘主義と御言葉』(1924)において,シュライアマハーの宗教体験としての信仰理解を神秘主義として批判し,宗教改革の原理である神の言葉を掲げて近代自由主義神学の道徳神学的内在主義を克服し,弁証法神学([ドイツ語]die dialektische Theologie)への道を開いた.『神学のもうひとつの課題』(1929)においては,福音の真理の宣教において自然的理性の最終法廷性,究極的準拠点性,自己充足性という妄想的公理を攻撃すると同時に理性がもともと持っている憧憬を真の意味で成就させる,攻撃と成就という二つの契機を持つ福音の弁証のために,教義学と並ぶ神学のもう一つの課題としての弁証学を強調した.ただし,弁証学にまつわる誤解を避けるために論駁学([ドイツ語]Eristik)と呼んだ.『神学の課題としての接触点への問い』(1932)においては,自然的人間の言葉の能力,神意識,罪責意識,世界意識に宣教の接触点を求めた.この宣教の接触点([ドイツ語]Anknu¨pfungspunkt)を求めていくブルンナーの立場はバルトとの間に有名な自然神学論争を引き起した.ブルンナーは『自然と恩恵』(1934)を書いて,非キリスト者においては実質的な神の像は失われているが,形式的な神の像は残存しているとして,福音に対する責任応答可能性を主張した.「正しい自然神学への帰路を見付けることが,われわれの神学的世代の課題である」と述べて,新しい自然神学を主張した.バルトは『否!』を書いて,ブルンナーを新プロテスタント主義,新トマス主義の自然神学として厳しく批判し,両者は決裂した.ブルンナーは,プロテスタンティズムにおけるある種の自然神学の保存を主張するようになる.キェルケゴールやブーバーの影響を受けて,『出会いとしての真理』(1941)を著した.啓示の真理を人格的出会いの真理とする立場から『教義学』3巻(1946—60)を書いた.→弁証学,自然神学,バルト.<復>〔参考文献〕大木英夫『ブルンナー』日本基督教団出版局,1962;春名純人「弁証学における自然神学と接触点の問題」(森川甫編『現代におけるカルヴァンとカルヴィニズム』所収)すぐ書房,1988.(春名純人)
(出典:『新キリスト教辞典』いのちのことば社, 1991)

新キリスト教辞典
1259頁 定価14000円+税
いのちのことば社