《3分で分かる》バアルとは?

バアルとは?

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バアル…

[ヘブル語]バアルには,「主人」「夫」という意味があり,権力や所有権を持つ者を指し,具体的には旧約時代におけるカナンの地の土着の豊穰神の固有名詞として知られている.従ってバアルは男神であり,相対する女神は「アシュタロテ」である(士師2:13)(『新聖書・キリスト教辞典』「アシュタロテ」の項,いのちのことば社).カナンにおける農業宗教として,バアル崇拝は大きな感化を社会に与えていた.農業宗教,肥沃神の偶像崇拝は,性の結合の原理を豊作豊穰のための宗教儀式に適用するゆえに,道徳倫理面での廃退につながり,ついには神話的な神秘的な要素も組み入れられ,神殿男娼や神殿娼婦などによる混合主義的異教の感化がカナンの地(パレスチナ地方)に根強くなっていた.旧約聖書における預言者たちが激しく叱責非難した記述が残されている好例は,エリヤがバアルの預言者たちと対決した出来事である(Ⅰ列王18章).<復> バアル宗教は,さらに一般文化のレベルでも大きな感化を与えたようである.聖書における地名を例にとってみても,「バアル」の付く地名は10箇所以上に及んでいる.バアル・ハツォル(Ⅱサムエル13:23),バアル・シャリシャ(Ⅱ列王4:42‐44),バアル・ツェフォン(出エジプト14:2),バアル・ペラツィム(Ⅱサムエル5:18‐25)など.また人名でも,エドム人でバアル・ハナン(「主は恵みである」の意.創世36:38,Ⅰ歴代1:49)と呼ばれる王がおり,さらにゲデル人でダビデの部下であった人物にもこの名が付けられている(Ⅰ歴代27:28).文化的であるとともに宗教的にも感化を及ぼし,ある種の混合主義とも考え得る現象として神名に適用されることさえあったようである.「バアル・ベリテ」(「契約の主」の意.士師8:33,9:4)がそれである.「バアル・ペオル」(民数25:3‐9)はペオルで礼拝されていたモアブ人の神々の名.そこから町の名ともなった.「バアル・ゼブブ」(「はえの主」の意.Ⅱ列王1:2‐6,16)は病気をいやすエクロンの神の呼び名であると考えられ,新約聖書の「ベルゼブル」となり,悪霊のかしらを指し,サタンと同一視さえされている(マタイ12:24,27,マルコ3:22,ルカ11:15,18).新約聖書において「バアル」そのものへの言及はただ1箇所,ローマ11:4で,エリヤのバアル預言者たちとの対決後の体験についての記述である(Ⅰ列王19:18).→偶像崇拝,異教・異教徒,ベルゼブル,エリヤ.(服部嘉明)
(出典:『新キリスト教辞典』いのちのことば社, 1991)

新キリスト教辞典
1259頁 定価14000円+税
いのちのことば社