《3分で分かる》カント,イマーヌエルとは?

カント,イマーヌエルとは?

カント,イマーヌエル…

[ドイツ語]Kant, Immanuel.1724—1804年.ドイツの哲学者.ケーニヒスベルク生れ.『純粋理性批判』(1781)において批判主義の哲学を確立し,認識の超越論的批判の課題に従事した.これは科学的認識が成立するための普遍妥当的条件を明らかにする仕事である.この問題を「先天的総合判断はいかにして可能なりや」の問として解明した.この超越論的批判による科学的認識の基礎付けは近代哲学の認識論全体に大きな影響を与えた.キリスト教哲学においては,H・ドーイヴェールトが『理論的思惟の新批判』を著して,カントが提起した理論的思惟の成立のための普遍妥当的条件の研究にキリスト者の立場で従事した.彼はカントが理論理性の自律性という独断的原理そのものを超越論的批判のテストにかけていないことを批判した.カントは『実践理性批判』(1788)においては「汝の意志の格律が常に同時に普遍的立法の原則として妥当しうるように行為せよ」という定言命令がいかにして可能なりやを探究して道徳を基礎付け,道徳の形而上学を樹立しようとした.実践理性が道徳の自律的立法者であり,この実践理性の自己立法的普遍による自己規定として実践的自由が成り立つ.それゆえ,実践理性の自律こそ道徳の最高原理であると言う.このように,一方には,純粋悟性概念で感性的素材を包摂し,原則を自然に適用する理論理性の認識構成作用に理論的知識が成立する自然の世界,現象界がある.他方には,実践理性が自然法則から自由に(超越論的自由),道徳法則を立法し,この法則による自己規定(実践的自由)としての意志の自律による自由の世界,叡智界がある.カントは『単なる(純粋)理性の限界内における宗教』(1793)において,道徳的理性信仰を説き道徳神学を展開した.そこでは聖書のいろいろな宗教的表象について,自然的存在者として自然法則に規定されている人間に,自律的な道徳法則による意志規定を鼓舞し奨励する道徳補完的象徴的役割しか認めていない.道徳法則による汎通的意志規定としての道徳的完全性の理念の具体化された理想としてキリストを仰ぎ見て,キリストへの信従([ドイツ語]Nachfolge Christi)を説くカントの宗教論は近代自由主義神学に大きな影響を与えた.理想社『カント全集』18巻がある.→キリスト教哲学,理性と信仰.<復>〔参考文献〕春名純人『哲学と神学』法律文化社,1984.(春名純人)
(出典:『新キリスト教辞典』いのちのことば社, 1991)

新キリスト教辞典
1259頁 定価14000円+税
いのちのことば社