《3分で分かる》モンタノス主義とは?

モンタノス主義とは?

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モンタノス主義…

[英語]Montanism.キリストが今すぐにでも再臨されるという期待が薄れ,聖霊の活動の活発な時代も遠のいたと思われるようになった2世紀の後半に現れた,新しい聖霊運動である.<復> この運動の名称は小アジヤのフルギヤ地方の出身であるモンタノスに由来している.伝承によれば,彼はキリスト教に改宗する以前はキュベレ神の祭司であった.156年頃,聖霊の啓示の受容者であると主張し始めた.彼は,キリストが自分を通して助け主を送ると言われた約束が成就し,新しい聖霊の時代が到来したと布告した.間もなくプリスキラとマクシミラという2人の女預言者が仲間に加わった.彼らは聖霊の代弁者となったと自覚し,世の終末が近付いたこと,また天のエルサレムが今まさにフルギヤに建設されつつあることを説いた.迫って来つつある終末に備えて独身,断食,肉食を断つなど厳格な禁欲生活が実行されなければならないと説いた.<復> この厳格な禁欲主義は,世俗化が進みつつあった教会に対する抗議のあらわれであった.この運動はかなりの速さで広範囲に広がっていったので,アポリナリオス,ミルティアデースなどの正統主義者たちは激しく攻撃し,また危険を感じた司教たちは160年以来何度か教会会議を開催し,ついに異端として退けた.しかしその運動の勢いはなかなか食い止めることができず,170年以後はローマにも現れ,教会を長年にわたって苦しめた.200年頃にはカルタゴのテルトゥリアーヌスが,おもに彼らの禁欲主義に魅せられてこの運動に加わった.モンタノス主義は教会の主流からは徐々に排除されたが,東方では,ローマ帝国がキリスト教を公認した後も長い間活動し続けた.カルタゴにはアウグスティーヌスの頃まで存続した.<復> モンタノス主義はキリスト教初期の預言者的情熱の再現と,約束の聖霊の来臨思想と,終末信仰が結合した運動であった.これは歴史の中に再三再四現れる聖霊運動の走りであり,古代教会に制度化を促した一つの運動となった.→異端,終末論,聖霊・聖霊論.<復>〔参考文献〕W・ウォーカー『古代教会史』(キリスト教史1)ヨルダン社,1984;Cross, F. L./Livingstone, E. A.(eds.), The Oxford Dictionary of the Christian Church (2nd ed.), Oxford, 1974.(泥谷逸郎)
(出典:『新キリスト教辞典』いのちのことば社, 1991)

新キリスト教辞典
1259頁 定価14000円+税
いのちのことば社