《3分で分かる》無教会主義とは?

無教会主義とは?

無教会主義…

1.内村鑑三によって唱えられ,日本の近代キリスト教史に顕著な影響を与えた主張.内村は,キリスト教の本質を,イエス・キリストの贖罪に基づく福音の,自由な霊的生命としてとらえた.それに対して既成の教会は,制度や組織に支えられ,教派的精神に支配された不純なものである,とした.そのような人為性・技巧性を取り除き,霊的生命によって結合された,信じる者の「交わり」としての共同体([ギリシャ語]エクレーシア)を追求した.信仰に基づく霊の交わりとしての教会は,伝統的な教会の外にこそ求められる,という率直な批判精神が「無教会主義」の基盤である.<復> 2.内村は,そのようなエクレーシアのモデルを「家庭」に求める.「家庭に類したる教会は何人もこれに属せんと欲する者である.法王あり,監督あり,規則あり,信条ある者は政府である,家庭でない.キリストはかかる冷たき石の如き者を建てんと欲し給うたのではない.温かき家庭の如きエクレージャ…その建設がキリストの目的であったのである」(「聖書之研究」119号).その結果,教会の礼拝,礼典,信条,教職制度など,可視的な要素を取り除いた,「簡素」で「自然」な交わりが尊重される.この無教会の主張と実践の中に,日本の伝統的な宗教意識が強く現れていることは,否定できない.<復> 3.無教会主義は,内村鑑三の「聖書之研究」誌によって,各地に無教会の「集会」を生み出し,また内村の強烈な個性と思想により,第2,第3世代の有力な後継者を続出させて,今日に至っている(藤井武,塚本虎二,矢内原忠雄,南原繁,政池仁,関根正雄,高橋三郎など).ただし,内村以後の無教会の主張には,かなりの幅が見られる.一定地域内の無教会の群れに,強い結束を求める行き方や,「一人一教会主義」の行き方など.しかし,いずれにも共通しているのは,聖書に対する非常に真摯な取組みと,伝道への熱心である.<復> 4.無教会主義が,日本のキリスト教史の中で果した役割は,(1)内村,矢内原,南原らの,教界内外における人格的影響.(2)内村以来,聖書研究及び聖書学の成果において著しいこと(黒崎幸吉,関根正雄,前田護郎など).(3)日本の近代化と,それに伴う様々な歪みを鋭く批判する人々が起され,聖書による預言者的な警告が行われたこと.→内村鑑三,教会・教会論.(小野静雄)
(出典:『新キリスト教辞典』いのちのことば社, 1991)

新キリスト教辞典
1259頁 定価14000円+税
いのちのことば社