《3分で分かる》エピクロス主義とは?

エピクロス主義とは?

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エピクロス主義…

[英語]Epicureanism.アテネで活躍したヘレニズム期の哲学者エピクロス([ギリシャ語]Epikouros,[英語][ラテン語]Epicurus)(前342/341—前271/270年)が唱えた快楽主義的倫理思想.転じて享楽主義,感覚的快楽主義を指す.<復> エピクロスは迷信的宗教が横行していた時代にあって,自然,人間,倫理に関して合理主義的思考を貫いた.自然現象を唯物論的に解釈し,感覚を出発点として人間の自然的本性を把握した.彼によれば,感覚は善の尺度であり,倫理的善は快の内にある.快の中には,永続的な快と一時的な快,多くの不快を生み出す快などがある.最大の快を得るための快楽の測定術からするならば,身体的苦痛を回避し,霊魂の平静さを保つことが重要である.<復> 彼は死への恐れを取り除き現世的な生を享受するために,霊魂の不死性を否定し,霊魂は微細な元素から合成されているとした.また神々の存在を認めはしたが,神々は人間界から遠く離れたところに存在し,人間には何の関心も示さず,人間の生活に何ら干渉しないと主張した.<復> 不死への願望を否定し神を排除して,人間中心的な原理によって生活を確立しようとしたエピクロスの快楽主義は,彼の時代から無数の中傷の的になった.キリスト教が成立した時代においてもエピクロス主義はまだ生命を失っていなかったが(使徒17:18),初代教会において,神の啓示に心を閉し真理を知ることができない「肉に属する人」の思考の典型として,キリスト教の対極に位置する思想と見なされるようになった.その結果「エピクロス主義」の語は,エピクロス自身の教説の内容に反して,肉欲耽溺や放縦を勧める享楽主義の意味で用いられるようになった.(多井一雄)
(出典:『新キリスト教辞典』いのちのことば社, 1991)

新キリスト教辞典
1259頁 定価14000円+税
いのちのことば社