《3分で分かる》教区とは?

教区とは?

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教区…

1.一般的に言えば,教区とは,司牧する責任者のもとにある行政的区域,または対象教会の集合体を表す.しかし,この語は,教団・教派間において,極めて幅広い,異なった意味を持って用いられている.<復> 2.歴史的には,ローマ帝国の行政区分に影響されて,主要都市に従った区分を,初代教会が行ったと考えられるところから始まり,4世紀には,その形が整えられてきた.宗教改革を経てプロテスタント諸教会は,教区または,それに準じる名称に,それぞれの意味を持たせてきた.日本においては,日本全体を1教区と見なしたキリシタンの時代以降の流れの中で,19世紀末に聖公会が,教区制度を開始している.<復> 3.教区概念は,それぞれの教派・教団的伝統や背景により,ことに教会政体によって,「名称」「教区区分の方法・規模」「教区の持つ意味」に著しい相違が見られる.一般に教区と訳されている英語にも,diocese, parish, districtなどの語があり,日本の教界にも,教区のほかに,中会・地区・地方連合・ブロックなどの名称が見られる.各教区に司牧的な権限と責任を持つ教区長を起用している教団もあるし,単に各地域の連絡・交わりのためのグループ分けにしかすぎないところもある.その区分の仕方もいろいろで,教区は比較的広い範囲に設定し,その中に地区・分区・支区を置く形体の教団もある一方,そのような細分化された地区を教区とするところもある.なお,近年のわが国の交通網・交通機関の発達は,従来の地理的慣習を超えた,より機能的な教区編成の可能性を示唆している.J・ウェスリの名句「世界はわが教区」は考察に値する一言と言えよう.(竿代信和)
(出典:『新キリスト教辞典』いのちのことば社, 1991)

新キリスト教辞典
1259頁 定価14000円+税
いのちのことば社