《3分で分かる》ティリヒ,パウル(ヨハネス)とは?

ティリヒ,パウル(ヨハネス)とは?

ティリヒ,パウル(ヨハネス)…

Tillich, Paul (Johannes).1886—1965年.アメリカで活躍した神学者.ドイツのブランデンブルク州シュタルツェッデルの牧師の子として生れる.ベルリン,テュービンゲン,ハレなどの各大学で神学,哲学を学び,ブレスラウ大学より哲学博士を授与される.第1次世界大戦の時には,ドイツの従軍牧師となったが,終戦後はベルリン大学の私講師となり(1919年),同時に宗教社会主義運動に関与して,その理論的指導者となった.その後,マールブルク(1924年),ドレスデン(1924年),ライプチヒ(1925年),フランクフルト(1929年)の各大学教授を歴任する.しかし,ナチズムを公然と批判したため,ヒットラー政権によって教授職を追われ,ラインホールド・ニーバーらの助力でアメリカに渡り,ニューヨークのユニオン神学校に迎えられた(1933年).以来定年までの22年間,同校で哲学的神学を担当,定年後はハーバード大学(1955—62年),シカゴ大学の教授を務め(1962—65年),宗教と文化の各方面で多大の影響を与えた.彼によれば,世界と人間の現実が抱える問題を明らかにするのが哲学である.これに対し,啓示の答を提供することが神学である.神は〈存在の根底〉であり,キリストは,疎外状態にある人間実存を回復させる〈新しい存在〉である.従って,信仰は人間の究極的関心であり,宗教は文化の根底をなすもので,神学は文化の諸領域と対話する必要がある.その著作は,『ティリッヒ著作集』(全10巻,別巻3)として刊行されている.(中沢啓介)
(出典:『新キリスト教辞典』いのちのことば社, 1991)

新キリスト教辞典
1259頁 定価14000円+税
いのちのことば社