《3分でわかる》マグダラのマリヤとは?

マグダラのマリアとは?

マグダラのマリヤ…

関連記事イエスの母マリアとは何者か? ・ベタニヤのマリヤとは何者か?

 イエスに従った人々のなかには、十二使徒や男の弟子たちだけではなく、女の弟子たちも多くいた。その代表格が、マグダラのマリヤである。

 マグダラのマリヤとイエスが、どのようにして出会ったかについて、福音書は詳しく記していない。しかし、「ルカの福音書」8章2節は、マグダラのマリヤのことを「7つの悪霊を追い出していただいた女」と説明しているので、彼女はイエスによってそのような奇跡を体験した女だったのであろう。マリヤが感謝のあまりイエスたちと行動をともにしたことは、想像に難くない。

 しばしばマグダラのマリヤは、イエスの足に香油を塗った罪深い女と混同される(「ルカの福音書」7章)。しかし、これには十分な根拠が無い。彼女の出身地マグダラはガリラヤ湖西岸の漁港で、異邦人が多く、不品行で知られていた。おそらくこの両者が結びつけられてしまったのであろう。

 マリヤは、イエスの十字架、埋葬、復活の現場にまでつき従っていた。イエス・キリストが十字架にかかるとき、多くの男の弟子たちはイエスのもとを逃げてしまったが、マグダラのマリヤはほかの何人かの女たちと一緒に最後まで十字架の所にいて、イエスを見守っていた。

 イエスは、死後アリマタヤのヨセフという人の墓に埋葬された。このときにもマリヤは墓まで行って、その様子を確認している。

キリスト復活の証人

 さらにマリヤは、イエスの復活も最初に目撃している。マリヤは、ほかの女たちとイエスの死体に油を塗ろうとして出かけた。イエスが十字架にかかってから3日目の日曜の早朝のことである。すると墓の入口の大きな石が転がしてあり、中があいていた。そこには、純白の衣を着た青年がおり、キリストの復活を告げた。驚いたマリヤたちは、男の弟子たちの所に帰り、このことを伝えた。

 彼らは最初半信半疑であったが、次々に彼らも復活のキリストに出会うことになる。マグダラのマリヤが、初代教会においてキリスト復活の証人として重要な位置を占めていたことはたしかである。

歪められたマグダラのマリヤ像

マリヤの役割は、次第に増幅され、とくに紀元3世紀後半から4世紀に盛んになったキリスト教の異端グノーシス主義の文書では、大きく脚色されるようになる。たとえば、その思想に基づいた「ピリポの福音書」によると、キリストは彼女をほかの弟子よりも愛し、常に一緒に歩き、しばしばキスをしたと記している。当然こうしたマリヤ像は、『新約聖書』正典の伝えるものとは大きく異なっている。

 ただ、最近のフェミニスト神学をとる学者のなかには、こうした後代の著作を重視し、初代教会の男性中心主義的な偏見が、『新約聖書』のマリヤの役割を低下させたのだと主張する人々もいる。しばらく前に評判となったバーバラ・スィーリングの『イエスのミステリー』(日本放送出版協会)などもその一つである。しかし、こうした意見は、逆に現代の学者たちの思い入れを過去に読み込もうとしている部分が大きいのではないだろうか。
(出典:杉本智俊『聖書人物伝 これだけは知っておきたい127人』フォレストブックス, 2013, 176-177p)

聖書人物伝
千代崎秀雄、鞭木由行、内田和彦、杉本智俊、岸本紘 共著
224頁 定価1,800円+税
いのちのことば社