命題集とは?
命題集…
[ラテン語]Sententiae,[英語]Sentences.中世ローマ・カトリック教会の教理集のこと.11世紀は,神学と法学が,古代教会の使徒教父の文献に基づいて研究され始めた時代である.聖職者養成のために用いられた聖書に注釈を加えて講義する方法から,やがて神学命題集が編纂されるようになり,様々な教義を例証するために聖書や教父からの引用文を集めて教科書が作られた.この選集が集められ,神学命題大全として集大成された.ペトルス・ロンバルドゥスは『神学命題集』全4巻を著し,キリスト教の信仰と神の救済について,天地創造から最後の審判に至るまでを扱い,聖書,公会議の決定,教父や神学者たちの意見を引用し,それに自分の意見を加えて集大成した.<復> 宗教改革までの教授法は,この『神学命題集』やグラティアーヌスの『教令集』に基づくものであった.対抗宗教改革の時代になると,トマス・アクィナスやボナヴェントゥーラ,ドゥンス・スコートゥスの神学がロンバルドゥスに代って主流となった.→スコラ学,トマス・アクィナス.<復>〔参考文献〕『中世キリスト教の発展』(キリスト教史第4巻)講談社,1981;稲垣良典『トマス・アクィナス』講談社,1979.(太田良一)
(出典:『新キリスト教辞典』いのちのことば社, 1991)

新キリスト教辞典
1259頁 定価14000円+税
いのちのことば社
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いのちのことば社