《5分でわかる》マタイとは?

マタイとは?

マタイとは…

イエス・キリストの弟子たちのなかには、当時の社会からするとまったく受け入れられないような人々がいた。とくに取税人のマタイなどはそうである。漁師も無学な人が多く、社会的指導者になる可能性は低かったかもしれないが、取税人はそれ以上に金に汚い罪人として人々から軽蔑されていた。

嫌悪されたマタイの職業

当時イスラエルはローマ帝国の支配下にあり、所得、資産、交易、農産物など、さまざまなものに対する税を納めることになっていた。取税人の多くはユダヤ人であったが、異邦人のために同胞から金を取りたてるため、罪人だとされていた。また、この取税人の仕事は入札制で、もっとも高額の入札をした者が、その権利を請け負うことになっていた。取税人が取り立てた金額と政府に入札した金額の差額がすべて彼らの収入となっていたので、彼らはできる限り高額な税を人々から取り立てようとした。こうした制度には当然不正がつきもので、福音書はもちろんのこと、タルムードやヨセフス、フィロンなど当時の作家たちも、彼らがいかに嫌悪されていたかを記している。

マタイの功績

マタイはカペナウムの近くの収税所にすわって仕事をしていたときにイエスに声をかけられ、弟子として従った。この記事は、「マタイの福音書」にだけ登場し、ほかの福音書には記されていない。しかし、マルコやルカの福音書には、レビという取税人の悔い改めの記事が記されており、マタイの召命の記事と非常によく似ている。
キリスト教会は、伝統的にこのマタイとレビは同一人物だったと考えてきた。マタイには2つ名前があったのかもしれないし、レビが弟子となったときイエスからマタイという名前をもらったのかもしれない。
もしこの2人が同一人物であるなら、マタイは回心の後、イエスを自分の家に招いたことになる(「ルカの福音書」5章)。そこには、大勢の取税人や罪人たちがいたが、イエスは躊躇しなかった。イエスは人々の批判に答えて言う。「医者を必要とするのは丈夫な者ではなく、病人です。わたしは正しい人を招くためではなく、罪人を招いて、悔い改めさせるために来たのです」。ここからマタイの新しい生涯がはじまった。
弟子となったマタイは、イエスの昇天後、エチオピアかマケドニヤで福音を語り、殉教したと伝えられている。しかし、マタイの最大の功績は、「マタイの福音書」を残したことであろう。マタイは、もと取税人らしく理路整然とイエスの教えを記し、とくにイエスが旧約聖書で預言されたメシヤ(救い主)」であることを強調している。早くから初代教会でこの福音書は重要視され、とくに信仰の入門者にとって教科書のように用いられていたとされる。現在でも、新約聖書の最初の書は「マタイの福音書」である。
(出典:杉本智俊『聖書人物伝 これだけは知っておきたい127人』フォレストブックス, 2013, 182-183p)

聖書人物伝
千代崎秀雄、鞭木由行、内田和彦、杉本智俊、岸本紘 共著
224頁 定価1,800円+税
いのちのことば社