《5分でわかる》イサクとは?

イサクとは?

イサクとは…

英訳聖書での発音はアイザック。ニュートンやアシモフの名は、この人からもらった。原語ではイスハーク、日本訳の方が原音に近い。この原語の意味は「彼は笑う」で、命名の由来は「創世記」21章に記される。

父への尊敬と信頼

イサクの誕生は、老父母に尽きぬ笑いを与えたにちがいない。また周囲の人々にも。「あのジジババが実子をもうけたんだとサ」と、好意的ななかにも、少々物笑いのタネにさたろうことは、十分に想像できる。
ともあれ、両親の愛を受けて育った少年はいつもおだやかな笑顔で人に接した、と思われる。すなおな性格であり、心から父を尊敬し、父の信仰を受け継ぐことを最高の目標にしていた。だからこそ、モリヤの山で彼は父に従いとおした。もし反抗しようと思えば容易だったろう。おとなしく縛られて、祭壇に横たえられても暴れなかった。父に対して全幅の信頼があったから……。
この信頼は、その後の結婚においても発揮される。アブラハムは息子のために最高の妻をと願い、信頼する忠実な僕(前出のエリエゼルかもしれぬ)を、故郷へ嫁探しに旅立たせる。
この一件を報告する「創世記」24章の物語は絵になる。故郷の町の井戸のほとりで僕は祈った。その祈りのとおりの条件にかなう娘が現れたのである。聞いてみると、アブラハムの甥の娘リベカであった。彼女は僕を家にともない、僕はリベカの父と兄に事情を話した。2人は聞いて快諾し、リベカは翌日さっそく、僕の一行に連れられてまだ見ぬ地へ、神が導き選んだと信ずる未来の夫のもとへ旅立った。非常に美しく、それ以上に心やさしいリベカを、イサクは喜んで迎えた。

平穏無事(?)なる人生

現代のように、伴侶は自分が選ぶのが最善、と考える男女が大多数である時代からみると、ひどく古く思われるが、昔はみな親や周囲が選んで、それで案外よくいった面もあったようだ。ともあれ、イサクとリベカの夫婦愛は美しく申し分ない。父アブラハムや息子ヤコブは、妻以外の女性に子を生ませた。やむをえぬ事情で。しかしイサクは、リベカ以外の女性を知ろうとしなかった。
さて、そのリベカに生まれたのが、双子のエサウとヤコブだった。この2人は間違いなく二卵性で、性格は正反対だった。いつもケンカをしていたわけではないが、重要な場面でトラブルが生じ、両親を悩ませた。
ともかく、イサクはその誕生からそもそも劇的であり、その生涯には劇的場面が数回あるが、全体としては彼の人生は平和であり、性格は柔和、温和を絵に描いたような人物だったと思われる。「創世記」26章は、井戸をめぐってのトラブルが隣人との間に数回起こったことを記すが、イサクは常に争わず、強引に所有権を主張する隣人に(自分が掘った井戸なのに)譲って、それがより多くの祝福につながっていく。
(出典:千代崎秀雄『聖書人物伝 これだけは知っておきたい127人』フォレストブックス, 2013, 20-21p)

聖書人物伝
千代崎秀雄、鞭木由行、内田和彦、杉本智俊、岸本紘 共著
224頁 定価1,800円+税
いのちのことば社