フッカー,リチャードとは?
フッカー,リチャード…
[英語]Hooker, Richard.1554—1600年.英国教会の代表的神学者.オックスフォード大学に学び,そこでヘブル語を講じた後,ロンドンのテンプル教会の主任司祭に任じられ(1585—91年),同教会の午後の説教者で熱烈なピューリタンのウォルター・トラヴァーズと講壇を通して論争を行い,後にそれを踏まえて8巻の大著『教会政治理法論』を著した.他の批判者たちが広義のカルヴァン主義という共通の土俵の上でピューリタンと論争したのと異なり,トマス・アクィナスの自然神学を援用し,理性の法を重視して独自に構築した神学体系に基づいてピューリタンを批判し,エリザベス国家教会体制を有効に擁護したが,同時にカルヴァン主義の伝統に立ち,ピューリタンをも包み込んでいた英国教会神学を,「中道」を主張する独特のアングリカン神学のほうへ傾斜させていく基礎となったと言える.(村川 満)
(出典:『新キリスト教辞典』いのちのことば社, 1991)

新キリスト教辞典
1259頁 定価14000円+税
いのちのことば社
1259頁 定価14000円+税
いのちのことば社