《3分でわかる》ザアカイとは?

ザアカイとは?

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ザアカイとは…

ローマ帝国の支配下にあったユダヤで、民衆が払うローマへの税金の徴収を請け負うのが、取税人と呼ばれるユダヤ人たちの仕事であった。彼らは不当に多くを取り立てて私腹を肥やしたので、同国人から嫌悪され、神の律法を知らない異邦人と等しい扱い、すなわち宗教儀式上は汚れた者、罪人であるという差別に甘んじなければならなかった。富と引き換えに魂を売ったのである。
ザアカイはエルサレム近郊のエリコという、通商の要衝にある町の取税人の頭であり、関税と租税の両方で荒稼ぎをして「金持ち」になった。当然ながら孤独と恨みに満ちた人生であった。イエスがエリコの町に来たと聞いて、背が低い彼は路傍の木に登り、通り過ぎるイエスを葉陰から見下ろすことにした。ところがイエスは彼の真下で立ち止まり、上を見上げて「ザアカイ、急いで下りよ、今日あなたのところに泊まることにしてあるから」と言う。
人々の憤懣渦巻くなか、ザアカイは大喜びでイエスを招き入れてもてなしたうえ、その分けへだてない赦しと愛に不正を改め、償いと施しの意志を表明する。そこで言われたイエスの言葉はよく知られている。「きょう救いがこの家に来た。人の子(イエスが自分に用いたキリスト論的称号)が来たのは失われた者を探して救うためだ」。イエスはさらに「この人もアブラハムの子だ」と付け加えて、ユダヤ人の誤った誇りを打破する。
(出典:岸本紘『聖書人物伝 これだけは知っておきたい127人』フォレストブックス, 2013, 202p)

聖書人物伝
千代崎秀雄、鞭木由行、内田和彦、杉本智俊、岸本紘 共著
224頁 定価1,800円+税
いのちのことば社