《5分で分かる》レバノンとは?

レバノンとは?

レバノン…

([ヘブル語]lebānôn) 語根lbn「白」の派生語.シリヤ(アラム)の山脈.この名前はその付近の地域にも適用される.⑴名称.名前は2つの要因から出ている.それは,高い山脈の石灰岩の白さと,特に半年も頂上の峰々に残る光り輝く雪の白さである(参照エレ18:14).レバノンという名は,前18世紀以後の記録に出てくる.⑵地勢.レバノン山脈の南端は北ガリラヤの丘陵に続き,ツロの北数キロで海に注ぐリターニー川下流の東西に伸びる峡谷で分けられている.つまりレバノン山脈は,リターニー川とオロンテス川の谷で分離された南北に走る2列の山脈から成っている.そして西方はレバノン山脈,東方はアンティ・レバノン山脈と呼ばれる.中間の谷間はケレ(くぼ地)・シリヤと呼ばれたり,ベカアの谷と呼ばれたりしている.山脈はシドンの南東約24キロの地点に始まり,トリポリの北北東約19.2キロの所まで,ほぼ160キロの長さにわたっている.レバノン山脈の最高点は北端にあり,アンティ・レバノン山脈の最高点は南端のヘルモン山(2815メートル)で,その頂上ははるか南のエリコからも見える.山脈の中央にあるベイルートの背後のジェベル・ケニセ(2100メートル)とジェベル・スニン(2600メートル)は最も堂々とした峰で,トリポリの東南東のクルナト・エス・サウダは3060メートルの最高峰である.2つの山脈の雪解け水は,北方に流れてオロンテス川となり,東はダマスコに流れるアマナ川,西に流れてリターニー川,パレスチナを通って死海に注ぐヨルダン川となっている.⑶レバノンは契約の地の北境であって(申1:7,11:24,ヨシ1:4),神の約束の地に含まれていたが,全部が占領されたことはなかった(ヨシ13:5).古代のレバノンは,その深い森が有名で,特にレバノンの杉の木は有名であった.レバノンの肥沃と多産については,詩72:16,雅4:11,ホセ14:5‐7/14:6-8に記されている.その杉の木は威厳と力の象徴であり(士9:15,Ⅰ列4:33/5:13,詩92:12/92:13),地上の誇りの象徴でもあった(詩29:5,イザ2:13).杉は古代東方では最高の建築材であった.沿岸地方には早くからフェニキヤ人が住み,建築と船の建造に杉を用いていた.内陸にはヒビ人(士3:3)が住んでいた.レバノンという名は,古代ウガリット,ヒッタイト,エジプト,バビロニヤの文献に現れる.ソロモンのエルサレムの神殿建築(Ⅰ列5:6,9,14/5:20,23,28)と第2のエルサレムの神殿(エズ3:7)のためにレバノンから杉材が運ばれた.古代の諸帝国はレバノンの森林資源を無情に搾取した(イザ33:9).エジプト,アッシリヤ,ギリシヤがドッグ川河口に征服の碑文を残している.ウガリットの叙事詩には,レバノンの杉がバアルの家(神殿)の材木となったと述べられている(Ancient Near Eastern Texts, p. 134).現在では保護計画により,再森林化が試みられている.

(出典:油井義昭『新聖書辞典 新装版』いのちのことば社, 2014)

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