《5分で分かる》マタイとは?

マタイとは?

スポンサーリンク

マタイ…

([ギリシャ語]Maththaios) 主イエスの十二弟子の一人(マタ10:3,マコ3:18,ルカ6:15).マタイは,カペナウム近くの取税人で,仕事に従事している最中,「イエスは……収税所にすわっているマタイという人をご覧になって」(マタ9:9)とあるように,主イエスの招きを受け,ただちに応答した.彼は,ガリラヤの分封国主ヘロデ・アンテパスに仕え,ダマスコとアコを結ぶ道路を利用し運搬される商品に課税する仕事をしていたと思われる.マルコは並行記事の中で,収税所にいる人物を「アルパヨの子レビ」(マコ2:14)と呼び,またルカは単に「レビ」(ルカ5:27,29)と呼んでいる.マルコとルカは,このレビと十二弟子のリストのマタイを積極的に同一人物として描いてはいないが,マタイの福音書では(レビという名前は出てこないが),十二弟子のリストの中で「取税人マタイ」(マタ10:3)と明記していることからも,マタイとレビは同一人物と見るべきであろう.ユダヤ人には,しばしば2つの名前を持つ習慣があり,主イエスの弟子となった時,マタイという名前を与えられたという可能性もあり,また,レビを個人的な名前ではなくレビ部族を指すと見,レビ人マタイとも考えられるなどの提唱がなされている.
レビがマタイであれば,ルカは,マタイが主イエスと取税人や罪人と呼ばれる大勢の人々を,「自分の家」(ルカ5:29)に招いたと言っている.この食卓の交わりの中心は,罪人を招かれる主イエス御自身である(マタ9:13,マコ2:17,ルカ5:32).この祝宴はマタイにとって,過去の生活からの分離を記念し,自分の仲間たちにイエスを紹介し,自分がかけがえのない存在としてイエスに取り扱われた喜びを伝える幸いな機会であった.
主イエスの昇天後,マタイはエルサレムにとどまり祈りに専念する人々の中に加わっているが(使1:13),その後の活動については,新約聖書は直接何も語っていない.ただ,エチオピヤ,マケドニヤ,シリヤ,ペルシヤ,メディヤなどで宣教活動をしたとか,エチオピヤかマケドニヤで生涯を全うしたとか,さらに殉教にかかわる多様な伝説が伝えられているだけである.
マタイがマタイの福音書の著者であるとの初代教会の証言の一つとして,エウセビオスが伝えるパピアスのことば,「マタイはヘブル語で神の語録を集成した.そしてめいめいが,自分の能力に従ってそれらを解釈した」(『教会史』3:39:16)がある.マタイの取税人としての訓練や経験が,あらゆる国の人々に宣べ伝えるため,主イエスが弟子たちに「命じておいたすべてのこと」(マタ28:20)を記録するために用いられたと思われる.しかも,主イエスのことばと行為を記録する福音書が伝えられる時,「見よ.わたしは,世の終わりまで,いつも,あなたがたとともにいます」(マタ28:20)との約束が成就することを示し,主イエス御自身の人格,存在と,福音書との深いかかわりを明らかにしている.

(出典:宮村武夫『新聖書辞典 新装版』いのちのことば社, 2014)

新装版 新聖書辞典
定価6900円+税
いのちのことば社