《3分で分かる》トマスとは?

トマスとは?

トマス…

([ギリシャ語]Thōmas) 共観福音書では,十二弟子のリストの中ほどに登場するだけであるが(マタ10:2‐4,マコ3:16‐19,ルカ6:14‐16),ヨハネの福音書においては,はるかに重要な役割を果たしている(ヨハ11:16,14:5,20:24‐29,21:2).主イエスがユダヤ地方に戻る際の危険を見抜き,トマスは忠実さと勇気をもって,主イエスと共に死ぬ覚悟で,仲間の弟子たちに呼びかけている(ヨハ11:16).また,弟子たちが当然そのことに対する知識を持っていると見られる状況にあって,自分の無知を率直に認め,主イエスに訴え,それが一つのきっかけとなって,主イエスはなお明確に真理を明らかにしている(ヨハ14:5).さらに,復活のキリストが十字架で死んだ方と同一であることを明瞭に示す証拠を求め,それが聞かれると,「私の主.私の神」(ヨハ20:28)と,心からの礼拝をもって応答している.このようにヨハネの福音書に見るトマス像は,自分の無知を率直に認め,一度真理が明らかにされて理解を深めると,全身をもって応答していく好ましい弟子として描かれている.
シリヤ語を話す教会の間では,トマスは主イエスのふたごの兄弟の一人であり,ユダ(マコ6:3)と同一視する説があった.その後のトマスについては,ペルシヤに宣教したとか,インドで宣教し,そこで殉教したとかの伝承が伝えられている.現在も,インドの聖トマス教会は,トマスの宣教によって設立された教会の継承と主張している.

(出典:宮村武夫『新聖書辞典 新装版』いのちのことば社, 2014)

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