《5分で分かる》テトスとは?

テトスとは?

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テトス…

([ギリシャ語]Titos) パウロの仲間,同労者(Ⅱコリ8:23).パウロの4つの手紙(Ⅱコリント,ガラテヤ,Ⅱテモテ,テトス)から知り得るのみで,使徒の働き/使徒言行録には言及がない.ギリシヤ人(ガラ2:3)で,おそらくパウロを通して信仰に導かれ(テト1:4),早くからパウロの同労者として働いていたと思われる.パウロとバルナバに連れられてエルサレムを訪問した時,テトスに対し割礼を求める動きがあったが,結局割礼を強制されなかった.パウロはこの実例を取り上げ,ガラテヤ教会に侵入して異邦人キリスト者が割礼を受ける必要があると迫る論敵に対しての強力な反論の根拠とした.テトスは,いわば信仰義認の生き証人なのである(ガラ2:16,5:6).
パウロの同労者としてテトスがどのような働きをなしていたかは,コリント教会との密接なかかわりを通してかいま見ることができる.つまり,パウロはコリント教会について憂慮すべき報告を聞いてコリントを訪問したが,それが悲しむべき結果に終わった時(参照Ⅱコリ12:14,13:1),「大きな苦しみと心の嘆きから」(Ⅱコリ2:4,7:8)手紙を書き,テトスに託してコリントに送った(Ⅱコリ7:13).パウロはテトスの帰りをトロアスで待っていたが,会うことができず(Ⅱコリ2:13),マケドニヤまで行き,そこでテトスに会った.パウロの手紙とテトスの訪問により,パウロとコリント教会の緊張関係は解消され,喜ばしい結果になったとの報告を聞いた(Ⅱコリ7:6‐7).テトスは,困難な状況の中でパウロの代理としての使命を十分に果たし,コリント教会に受け入れられ(Ⅱコリ7:15),パウロの深い信頼を得たのである(Ⅱコリ8:23).
コリント教会への愛を深めるテトスであったが(Ⅱコリ7:15,8:16‐17),エルサレム教会の貧しい兄弟たちに対する献金を集める仕事を再開し完了するため,コリント人への手紙第二を携え,またパウロのコリント訪問に備え最後の準備をするために,コリントを訪問した(Ⅱコリ8:6,17).テトスは,エルサレム教会への献金を集めるために,実際的に働いた中心人物の一人である.
テトスの後年の姿は,テトスへの手紙の中に見られる.パウロが開始したクレテでの宣教活動を継承し,各地域教会に指導者を立て(テト1:5‐11),論敵と鋭く対決し(テト1:12‐16),健全な教えをもって群れを養い育てる使命を,テトスはゆだねられていたのである(テト2:1以下).この働きを,テトスはパウロの多くの同労者と共になし(テト3:12以下),クレテでの使命を果たした後,ニコポリでパウロと共に冬を過ごすよう勧められている(テト3:12).
さらに,パウロの死の直前,テトスはダルマテヤ,すなわち,皇帝直轄領のイルリコ州(現在のユーゴスラビア地方)に行き(Ⅱテモ4:10),そこでの福音宣教に参与したと思われる(ロマ15:19).
後の伝承によれば,テトスはクレテ島のゴルティナで島の監督を務め,94歳で召されたと伝えられている.

(出典:宮村武夫『新聖書辞典 新装版』いのちのことば社, 2014)

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