《3分で分かる》デカポリスとは?

デカポリスとは?

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デカポリス…

([ギリシャ語]Dekapolis) 「10の町」という意味.ガリラヤ湖南方の広大な地域で,スキトポリス(旧約のベテ・シェアン)を除いてすべてヨルダン川の東にある.デカポリスはパレスチナにおけるギリシヤ植民地の10都市からなっており,新約聖書では福音書にのみ出てくる(マタ4:25,マコ5:20,7:31).これら10の町ガダラ,カナタ,ゲラサ,スキトポリス,ダマスコ,ディオン,ヒッポス,フィラデルフィヤ,ペラ,ラファナは,アレクサンドロス大王の後継者たちによって建てられた.これらの都市は,東方におけるギリシヤ都市としてギリシヤ語を話す移民の者たちを多く引きつけ,ギリシヤ文化の中心となっていた.前63年にポンペイウスが率いるローマ軍によりユダヤ人支配から解放された.また免税の特権が与えられ,自治,通商のため同盟を結んで,シリヤ総督の支配下におかれ,新しい時代を迎えた.
デカポリス地方は,西にスキトポリス,北にダマスコ,南にフィラデルフィヤとほぼ三角形の地域で,旧約のギルアデがその中心に当たる.これらの都市は,主要通商路,軍用道路に沿った戦略上重要な場所にあった.デカポリスの諸都市はそれぞれ議会を持ち,その周辺地域を支配し,貨幣鋳造権,裁判権,暦に関する権限を持っていた.またゲラサ,フィラデルフィヤの発掘で知られるように,ギリシヤ・ローマ風の都市で,円柱のある幅広い街路,円形広場,神殿,野外劇場などがあった.
この地方から大勢の群衆がイエスに従い(マタ4:25),イエスはこの近くで悪霊を追放した(マコ5:20).またイエスは,ツロからシドンを通ってデカポリス地方のガリラヤ湖畔に行った(7:31).
紀元2世紀の地理学者プトレマイオス・クラウディオスは,8つの町アビラ・リサニウス,エデレイ,カナタ,カピトリアス,サアナ,ヒナ,ヘリオポリス,ボスラを,上記10の町に付加している.当時はデカポリスの全盛期であった.

(出典:村上宣道『新聖書辞典 新装版』いのちのことば社, 2014)

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