《5分で分かる》ステパノとは?

ステパノとは?

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ステパノ…

([ギリシャ語]Stephanos) 使6章で紹介され,7章で雄大な弁明を展開し,石打ちの刑に処された,初代教会最初の殉教者.
エルサレム教会で,毎日の配給を巡り,ギリシヤ語を使うユダヤ人に対しヘブル語を使うユダヤ人の間で苦情が生じた時,十二弟子を助けるため,7名の者が選ばれたが,ステパノはその筆頭にあげられている(使6:5).「信仰と聖霊とに満ちた人」(使6:5),「恵みと力とに満ち」(使6:8)と,ルカは「満たす」ということばを繰り返して,ステパノの特徴を伝えている.これは,信仰,聖霊,恵み,力などが神により一方的な恵みの賜物として与えられていることを示す表現で,ステパノが自らに与えられた使命を,単に生来の性格とか,努力を重ねた働きに対する報酬として与えられたものによってではなく,神の恵みの賜物によって果たしていくことを示している.
ステパノは,力強く奇蹟を行い,福音の宣教を大胆にまた熱心に進めていくが,その中で,リベルテンの会堂に属する,広く諸外国に離散していたユダヤ人たちと激しい論争を行った.議論に破れ,沈黙させられた人々は,ステパノがモーセと神を汚したと偽証をし(使6:11),「民衆と長老たちと律法学者たちを扇動し」て(使6:12)ステパノを捕らえ,最高議会の公式の場で糾弾した(使6:13‐14).
ステパノの弁明(使7:2以下)は,訴えの中心である律法の問題に,使7:35‐40,50‐53で直接言及しているだけでなく,使7:3‐4でも,神の命令に対し,アブラハムが応答している事実を指摘している.また,使7:5,7でも神のことばが約束として与えられている側面を強調し,神の民は神のことばに応答すべきこと,神のことばの約束としての特徴を指摘するなど,律法に対する否定的な表現は全く見られない.ステパノは,モーセを尊び,律法に何か不足や誤りがあるなどとは少しも述べておらず,律法の有効性を認め,自らの立場を弁護している.さらに,主イエスの十字架において頂点に達するユダヤ人自身の律法拒絶を逆に鋭く攻撃し,神殿についての自らの理解を律法の証言に基づいて主張する.ステパノが批判し,否定しているのは,神殿を救いの根拠にしたり(使7:48),律法を守ることにより救いを獲得しようとして律法をゆがめ,曲解し,誤用することなのである.
ステパノの殉教に続くエルサレム教会に対する迫害は,サマリヤへの伝道(使8:9以下)や異邦人宣教のためにユニークな役割を果たすアンテオケ教会の誕生への道を開いた(使11:19以下).何よりも,ステパノの殉教は,異邦人への使徒パウロの登場と深く結びついている(使7:58,8:1,3,22:20).

(出典:宮村武夫『新聖書辞典 新装版』いのちのことば社, 2014)

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