《5分で分かる》カルメルとは?

カルメルとは?

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カルメル…

([ヘブル語]karmel) 「実り豊かな地」という意味.⒈イスラエルの北方,地中海に突き出た岬から,東南へ24キロほど延びている一連の丘.岬の北側は険しい斜面で,人の背丈を越えるイワバラが茂り,人が動くのも困難なほどである.その北側にはキション川が地中海に注ぎ,さらにその北側にはアコ平原やメギド平原が続く.岬の南側斜面は北に比べればゆるやかで,いなごまめ,樫,やまもももどきなどの灌木が広がる.岬に近い部分は最も高い所で169メートルほどでさほど高くはないが,南東に行くにつれて標高は上がり,南東の端は546メートルほどもある.そしてこの南東の端はさらにパレスチナの中央台地へと続いている.
岩層は石灰岩で,ところどころ岩肌が出ており,山腹には洞穴もあったと思われる(参照アモ9:3).その頂上からの眺めはすばらしいものであったが,ふもとから見る山の姿も格別で,雅7:5/7:6では恋人の美しい頭に,エレ46:18ではバビロンのネブカデネザル王の勇姿にたとえられている.
カルメル山付近のある町はヨシュアによって征服されたが(ヨシ12:22),それはきわめて部分的なもので,士師時代を通じて,この地はカナン先住民の支配下にあったものと思われる(士1:27,30).
カルメル山は,何より預言者エリヤがバアル礼拝者たちと対決をした場所として有名である.彼は,北イスラエルの王妃イゼベルに養われていた450人の預言者を山頂に招いた.ヤハウェとバアルのどちらが真の神か,という問題に決着をつけようとしたのである.
エリヤ,バアル預言者の両方共に祭壇を築き,そこに雄牛をのせ,火をもって答える神を,神とすることになった.
バアルの預言者たちは懸命に自分たちの神の名を呼び求めたが,何の答えもなかった.しかし,ヤハウェはエリヤの祈りに答えて雄牛も祭壇もすべてを焼き尽くし,御自身が神であることをあかしした(Ⅰ列18:1‐40).
もし,エジプトのトゥトメス3世,ラメセス2世,ラメセス3世による地名表の「聖なる岬」がカルメル山を指すとすれば,かなり昔からカルメル山は神聖視されていて,偶像礼拝の場所であったように思われる.なお,紀元200年頃にも,この山ではバアルは「太陽の国家神ゼウス」として礼拝されていたようである.したがって,エリヤのカルメル山での対決は,単にイスラエル史上における一事件ではなく,全世界史的意義を持つと言えよう.
預言者エリシャはしばしばカルメル山を訪れているので(Ⅱ列2:25,4:25),彼の家,もしくは彼が親しくしていた人の家がそこにあったのかもしれない.
カルメル山は豊かな森林地帯であったところから,預言者たちはその木が枯れるという表現で,神の審判を描写した(イザ33:9,アモ1:2,ナホ1:4).それとは反対に,エレミヤは,その木々の繁茂をもって神の祝福の約束を表現した(エレ50:19).
⒉ユダの山地の町(ヨシ15:55).現在のエル・キルミルで,ヘブロンの南方に当たる.アマレク人を打ち破ったサウルがここに記念碑を立てた(Ⅰサム15:12).後にダビデの妻となったアビガイルの前夫ナバルは,この町で事業をしていた(Ⅰサム25:2以下).

(出典:中沢啓介『新聖書辞典 新装版』いのちのことば社, 2014)

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