《3分で分かる》ガリラヤ湖とは?

ガリラヤ湖とは?

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ガリラヤ湖…

ガリラヤ地方にある湖.旧約ではキネレテの海(民34:11)と呼ばれ,後にはゲネサレ湖(ルカ5:1,『ユダヤ古代誌』,Ⅰマカベア11:67),テベリヤの湖(ヨハ21:1),ガリラヤの湖(ヨハ6:1)とも呼ばれた.現代イスラエル名はヤム・キネレテ(「キネレテの海」という意味)である.ヨルダン川が流入流出する場所を除いて丘陵に取り囲まれている.東側の丘陵は300メートル以上に達し,西側も南端あたりまでは同様であるが,北西部は低くなだらかである.この小さな心臓の形をした湖は長さ(ヨルダン川の入口から出口まで)が21キロ,幅は12キロある.湖は地中海海面下211メートルにあり,死海と違って淡水である.丘陵の緑が青い水面に映え,パレスチナで最も美しい景観を呈している.湖畔で最も広い平地は北西にあるゲネサレの平原で,北東ではヨルダン川の河口近くのアル・ブテーハの地域に少し開けた所がある.湖畔はどこでも人が通ることができるようになっている.雨量は農業に十分なほどあり,暖かい冬と長くて暑い夏のため植物はよく生長し,あらゆる種類のパレスチナの産物がここに見られる.春にははなやかに色づいた斜面が美しく輝き,遠くヘルモン山が見える.湖に沿った狭い幾筋かの細長い土地はきわめて肥沃であるが,背後の岩の多い丘は開墾が困難である.これはイエスの種蒔きのたとえの中の「岩地」(マタ13:5,マコ4:5,ルカ8:6)の説明に当てはめることができる.
新約時代には12の大きな町が湖畔近くにあり,漁業が重要な産業で,ローマ帝国へ向けての主要な輸出品となっていた.魚は幹線道路に近いマグダラで,輸出するために塩づけにされた.舟はバシャンからローマに送られる穀物を運んだ.西側にカペナウム,ベツサイダ,コラジン,テベリヤ(町は湖と共に皇帝ティベリウスにちなんで命名された)の町があり,東側は異邦のデカポリスの地域で(マタ4:25),そこはたくさんの汚れた霊につかれた人がいた所である(マコ5:1‐20).ガリラヤ湖は,ハウランやヘルモン山などの広大な高原から峡谷を通って吹き下ろす冷たい空気が湖の上方で,湖面からの暖かい空気とぶつかって引き起こされる激しい突風や嵐で有名である.このような嵐をイエスは「黙れ,静まれ」と叱責して静めた(マコ4:39).今日では,テベリヤが町として残っている.

(出典:油井義昭『新聖書辞典 新装版』いのちのことば社, 2014)

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