エホヤキンとは?
エホヤキン…
([ヘブル語]yehôyākîn, yehôyākin, yôyākîn)「主は設立する」という意味.南王国ユダの最後から2番目の王.前597年にエルサレムで3か月と10日の間王であった(Ⅱ歴36:9).エレミヤは彼を「エコヌヤ」(エレ22:24,28,37:1)と呼んでいるが,おそらくこれはエホヤキン王の個人名であろう.また,マタ1:11,12に「エコニヤ」とあるのは,ギリシヤ語読みによるものである.エホヤキンは,祖父に当たるヨシヤの治世に,父エホヤキムと母ネフシュタとの間に生まれた.Ⅱ列24:8によると,18歳で王となったとあるが,Ⅱ歴36:9では,ヘブル語で8歳,となっている.おそらく,どちらかの写本における誤写と考えられる.Ⅱ列24:15には,妻がいたことが言及されており,8歳で結婚していたと想像することは困難であるから,18歳の方をとるべきであろう.父エホヤキムは,エレミヤの預言が記された巻き物を切り裂いて火で焼き,神のことばを冒涜した(エレ36:23,32).このことによって,主がエルサレムに宣告したのろいをいっそうきびしいものにした.
エゼ19:5‐9で,エホヤキンは「若い獅子」として描かれ,その若い獅子がバビロンに連れて行かれるであろうと告げている.これは,後に文字通り成就した.エレミヤがエホヤキンの青年時代を通じて力強く預言活動を続けたにもかかわらず,世俗の王の影響力の方が強く,預言者のことばは無視された.エホヤキンの父エホヤキムは荒々しく乱暴で,高圧的な王であった.彼は捕らえられてバビロンへ引いていかれた(Ⅱ歴36:6).このような悲しむべき状況と,バビロンの王ネブカデネザルの脅威が迫る中でエホヤキンは王となった.しかし王であった3か月間,彼は,主の目の前に悪を行った(Ⅱ列24:9).その後,ネブカデネザル王は使者を遣わし,彼を主の宮にあった財宝もろともバビロンに引いて行った(Ⅱ歴36:10).そこで,彼は残る生涯を捕囚として送ることになる.ネブカデネザルが前562年に死に,彼の息子エビル・メロダクの時代となった時,エホヤキンは牢獄から釈放され,その位をバビロンで彼と共にいた王たちの位よりも高くされた.また,一生の間,彼は王の前で食事をし,彼の生活費はいつも王から支給されたと記されている(Ⅱ列25:27‐30).
(出典:竹本邦昭『新聖書辞典 新装版』いのちのことば社, 2014)