《3分で分かる》エブスとは?

エブスとは?

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エブス…

([ヘブル語]yebûs) エルサレムの別名として聖書中に記されている(士19:10,Ⅰ歴11:4).それはエルサレムがエブス人の町だったからである(ヨシ15:8,63,18:28).エルサレムという名はウル・サリム「サリムの町」というバビロニヤ語で,創14:18では,「シャレム」となっている.前14世紀頃のテル・エル・アマルナ文書では,エルサレムは,ウル・サリムという名で呼ばれており,そこの王もヒッタイト名を持っていた.しかし,その後エルサレムはエブス人に占領され,イスラエル人が侵入した頃は,完全にエブス人の町となっていたようである.ヨシュアの時のエブス人の町の王は,アドニ・ツェデク(ヨシ10:1,3)であったが,イスラエル人の前に破れ,殺された(ヨシ10:26).ユダ族は,その町を攻めてこれを占領した(士1:8)が,エブス人を完全に追い出すことはできなかった(ヨシ15:63).ダビデの時にエブス人の要害としてのエルサレムは陥落し,ダビデの町となったがエブス人も居住を許されていた(Ⅱサム5:6以下).ダビデは,エブス人アラウナの打ち場を買い取り,そこに主の祭壇を築いた(Ⅱサム24:18‐25).以後,このエブス人の町エルサレムは,ダビデ王国の首都となったのである.エブス人については,諸国民の表の中(創10:16,Ⅰ歴1:14)に,カナンの第3子として記されている.エゼ16:3には,エルサレムとカナン人,ヘテ人,エモリ人の関係が説明されている.出3:8,17,申7:1,ヨシ24:11等でエブス人が常に最後に記されているのは,最小の部族でエルサレムにのみ住んでいたためであったか,あるいはカナン定住が一番遅かったということを示すようである.エブス人の起源については,ホリ人説,セム人説,エモリ人説等あって,確定しない.エルサレム定住の時期も明白ではないが,前14―13世紀と思われる.ダビデがエブス人の町を攻略した時,「水汲みの地下道」(Ⅱサム5:8)から攻め入ったと記されているが,その所の考古学的研究が現在も行われている.(詳細については,本辞典「エルサレム」の項を参照).

(出典:富井悠夫『新聖書辞典 新装版』いのちのことば社, 2014)

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