イシュマエル(人)とは?
イシュマエル(人)…
([ヘブル語]yišmāʽē’l) 「神は聞かれる」という意味.⒈アブラハム(アブラム)の妻サラ(サライ)のそば仕えの女,エジプト人ハガルによって生まれたアブラハムの子(創16:11,15,16).サラに子が生まれたので,ハガルとイシュマエルはベエル・シェバの荒野へと出て行った(創21:14).神は彼らを顧みられたので,後にイシュマエルは弓を射る者となり,成長してエジプトから妻を迎えた(創21:20,21).また,神の約束通りイシュマエルから12人の氏族の長が出た.彼の生涯は137年であった(創25:12‐17).パウロはガラテヤ人への手紙の中で,自由の女の子イサクを約束の子と見,また同じアブラハムの子でもハガルによって生まれたイシュマエルは世継ぎとなれなかった事実をとらえて,キリストを信じる者こそ世継ぎであると言明している(ガラ4:21‐31).しかし,イシュマエルが神の恵みのもとにあって氏族の繁栄を見ることができたことは,「わたしはあの子を大いなる国民とするからだ」(創21:18)ということばからも明らかである.
イシュマエル人は彼の子孫で,北アラビヤの砂漠地方,すなわちハビラからエジプトに近いシュルの間に住んだ(創25:18).
⒉ダビデの血統である王族の一人.エリシャマの子ネタヌヤの子.彼は10人の部下を連れてミツパに行き,シャファンの子アヒカムの子ゲダルヤを殺害した(Ⅱ列25:23‐25).ゲダルヤはバビロン王ネブカデネザルによってユダの地に残った民のために総督に任ぜられていた(Ⅱ列25:22).同じ記録はエレ40‐41章にさらに詳しく記されている.
⒊サウルの子ヨナタンの子孫.ヨナタンより11代後に生まれたアツェルの6人の子の一人(Ⅰ歴8:38,9:44).
⒋ヨシャパテの時代のつかさの一人.南王国ユダの王ヨシャパテは町々にさばきつかさを立て,彼らに正しい心をもって任務に当たるように命じた.その中で,イシュマエルの子ゼバデヤは王の事柄全体のために働いた(Ⅱ歴19:11).
⒌ヨハナンの子.百人隊の長の一人で,祭司エホヤダがヨアシュを王位につけるために計画した戦いに参加した(Ⅱ歴23:1).
⒍パシュフル族の一人.捕囚からの帰還後エズラの指示により,異邦人の妻を離縁した.
(出典:久保田周『新聖書辞典 新装版』いのちのことば社, 2014)