編集者Sのオススメ『情緒的に健康なリーダー・信徒をめざして』

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情緒的に健康なリーダー・信徒をめざして

ピーター・スキャゼロ

ピーター・スキャゼロ『情緒的に健康なリーダー・信徒をめざして』を読みました。

約570頁の本ですので、厚さを見るとひるむかもしれませんが、パート1の約300頁を読むだけでも、十分に得るところがあります。パート1では、リーダーとは一個人としてどうあるべきかを教え、パート2では、リーダーは組織の中でどのように行動すべきかを語っています。ですから一般信徒であるならば、パート1だけで読書を終えてもいいわけです。

ここではパート1の内容をご紹介します。リーダーが一個人として気をつけるべき点は4点です。最初に述べますが、これはスキャゼロ先生が多くの経験、特に失敗を通して学んだことだそうです。そして、この本を執筆した理由も、これからリーダーとなって歩む人たちが、自分と同じような失敗をしなくても済むようにという思いから書いたそうです。またスキャゼロ先生は多読の方です。多くの関連書籍を渉猟したうえで、この本をお書きになりました。

1.自分の内にある闇の部分と向き合おう

自分の内にある闇の部分とは、心の中にある負の力、または生育暦の過程で生じてしまった人格の歪みとでもいえましょうか。罪人が罪の世の中で生まれ育つのですから、誰もが大なり小なり闇の部分を抱えています。もしこの闇の部分を放置しておくなら、周囲の人に多大な迷惑をかけてしまいます。指導者ならなおのことです。そこでまず大切なのは、自分にはどのような闇が潜んでいるのか、冷静に客観的に見られるようになることです。そうして初めて、その闇の力をコントロールできるようになります。またこの闇を神さまに取り扱っていただくなら、それがかえって神さまに用いられる宝に変わる可能性も秘めています。

2.自分の夫婦関係または独身生活を通して神の栄光を表す

若い神学生同士が「二人で力を合わせて、神さまのために働きます」と言って結婚するのはいいことだと思います。けれども伝道を効果的に進めることが結婚の理由だとすると、それは問題です。若い頃スキャゼロ先生は、妻が自分の伝道計画を理解してくれないと、足手まといのように感じたそうです(ひどい話です)。けれどもいくつもの経験を経た先生は、愛し合う夫婦関係からあふれ出るものが、牧会にも伝道にもいちばん力があることを知りました。
独身者にも似たようなことがいえます。独身の伝道者が、「家族がいないので24時間体制で教会と信徒に仕えます」と言うのは問題です。独身であるならなおさら友人たちとの関係を大切に保ち、時間の自由を生かして、何かライフワークを持つのもいいでしょう。神さまにある独身者は輝いているなと思ってもらえるなら、それはよい伝道につながると思います。

3.生活の時間配分を大切にする

伝道者は、ついつい数字や目に見える成果を気にしてしまいます。礼拝出席者は何名か、何名がバプテスマを受けたか、献金額はどうか、新会堂は建てられるか、福祉的な事業は進めているかなどなど。こうした成果を上げたいためにしゃにむに働くと、やがて燃え尽きてしまいます。そこで神さまを中心にして、「デボーション(聖書を読んだり祈ったり、信仰書でも)」「休息(何かリラックスできることや、スポーツでも)」「人との交わり(家族でも友人でも)」そして「仕事」という四つの分野をバランスよく時間配分することが人生において大切になります。これはベネディクト会から学んだそうです。

4.安息日を大切にする

一週間に一度は24時間休みます。それは残る六日間の働く力を回復するためではありません。それでは働くための休みになってしまいます。ここで大事なのは、安息日そのものを楽しむことです。神さまが創造の六日を終えた後、被造物をご覧になって、非常によかったと満足なさったように、神さまの被造物を純粋に喜び楽しむことです。また申命記では、エジプトから解放されたことを覚えて安息日を守るように教えています。そのように、罪と永遠の死とから解放されたことを神さまに感謝しつつ、神さまとともに喜ぶような一日を過ごすことです。

以上がパート1です。パート2が気になる方は、ぜひ続きをご自分で読んでみてください。