


そのあまりに圧倒的な写実性は、時に依頼主から作品を返品されるほどだったと言います。あらゆるバロック期の画家たちに影響を与えたイタリアバロック絵画の巨匠カラヴァッジョも多数の宗教画を残しました。
『洗礼者聖ヨハネの首を持つサロメ』は非常に似た構図で2枚存在しています。後に描かれた作品はより暗い色調で描かれており、絵の首はカラヴァッジョの自画像となっているのです。
カラヴァッジョは類い稀なる才能を持ちながら、大変粗暴な性格で日常的に揉め事を起こす人物でした。まさにこれから、と活躍を期待されていた絶頂期に殺人の罪でローマを逃げ出すありさまです。
カラヴァッジョは2枚目の『洗礼者聖ヨハネの首を持つサロメ』を自らの罪の償いとして、騎士団長アロフ・ド・ウィニャクールに贈ったとされます。
優れた作品を数多く残しながら、それと同時に悪名高くもあり、その中にあって、徹底的なリアリティを追求した彼の作品は、今なお新鮮な輝きをもって多くの人々を魅了し続けています。
ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ(1571年9月28日 – 1610年7月18日)は、バロック期のイタリア人画家。ルネサンス期の後に登場し、カラヴァッジョ(Caravaggio)という通称で広く知られ、1593年から1610年にかけて、ローマ、ナポリ、マルタ、シチリアで活動した。あたかも映像のように人間の姿を写実的に描く手法と、光と陰の明暗を明確に分ける表現は、バロック絵画の形成に大きな影響を与えた。
(上)『洗礼者聖ヨハネの首を持つサロメ』(1607年頃)ロンドン・ナショナル・ギャラリー
(下)『洗礼者聖ヨハネの首を持つサロメ』(1609年頃)マドリード王宮
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